Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2009(平成21) 年度 生存圏科学 萌芽研究 14

研究課題

CP-SAR 搭載小型衛星と旧版地図によるインドネシア域の都市・植生測定に関する基礎研究

研究組織

 代表者 ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ (Josaphat Tetuko Sri Sumantyo) (千葉大学環境リモートセンシング研究センター)
 共同研究者 津田敏隆 (京都大学・生存圏研究所)
睦 (宇宙科学研究本部)
西尾文彦 (千葉大学・環境リモートセンシング研究センター)
大前宏和 (センテンシア(株))

研究概要

本研究では、マイクロ波リモートセンシングまたは合成開口レーダ(SAR)の基礎研究における新型円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)システムの設計開発、無人航空機と小型衛星、SAR の電磁波散乱の解析、旧版地図と衛星画像による長期間・連続的にアジア地域の大都市の環境変化のモニタリングなどの研究開発を行っている。

SAR センサは全天候型センサで、昼夜を問わず運用できる多目的センサである。国内外で様々な直線偏波の SAR センサが既に開発されてきた。この直線偏波SARでは限られた情報しか得られず、人工衛星の姿勢や電離層におけるファラデー回転などの影響を受ける。また現存のものの多くは大型、大電力、高価、長開発期間などの短所をもつ。欧米に比べて、わが国の教育機関(大学)における地球観測用の偏波 SAR 搭載小型衛星と「良いセンサ」の研究開発が遅れる。このような背景のもと、本研究では、地表層における様々な情報を精密かつ高精度に観測できる、世界初かつ「良いセンサ」技術である次世代地球観測用の円偏波合成開口レーダ搭載の超小型衛星(µSAT CP-SAR、図 1 を参照)の開発を実施している。また、この小型衛星を打ち上げする前に、本研究では CP-SAR 搭載無人飛行機(図 2 を参照)の実験も行う予定である。

ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 2009-1図 1. CP-SAR 搭載小型衛星のイラスト

ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 2009-2図 2. 無人飛行機による合成開口レーダ(SAR)の実験
(Credit: PT. UAVIndo)

SAR 画像の解析手法の開発に関して、近年、民間用の人工衛星の光学センサ(IKONOS など)の精度が向上され、今までの偵察衛星の分解能(数十センチメートル)まで達成し、農業、都市管理、交通などの分野のために、様々な応用が開発されている。これによって、2 次元的な空間情報に関する研究開発が盛んになったが、3 次元的に数立方センチメートルまでに体積分解能の抽出手法がまだにいない。そのため、本研究では宇宙から地上における地表層(特に都市と植生環境)の体積変化を抽出するために、差分干渉合成開口レーダ(DInSAR)による体積推定法(VolSAR 法、図 3 を参照)を開発している。この手法は本研究で開発する小型衛星の画像信号処理にも応用する予定である。

ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 2009-3図 3. ALOS PALSAR の DInSAR による地盤沈下の体積変化の推定(Credit: インタフェログラムは JAXA SigmaSAR ソフトにより解析した)

宇宙航空開発機構(JAXA)は既に 2 つの合成開口レーダ(JERS-1 SAR: 1992年~1998年)と(ALOS PALSAR: 2006年~現在)センサを運用し、世界中の膨大なデータを蓄積した。SAR センサは雲、霧、煙などを通過できるマイクロ波を使用しているので、世界中の地表層をいつでも観測可能である。SAR センサはよく地表層における物理情報の抽出に活用している。例えば、SAR が土壌水分、バイオマス、雪氷、農地、海洋ダイナミックなどの観測に応用された。将来、本研究で開発する小型衛星による植生または地表層における体積の微小変化情報を利用して、バイオマス、地盤沈下・起伏(地形変化)などのような災害監視のためにより正確な体積変化の監視に応用でき、植生生産量と災害の予測監視に応用できると期待する。

長期間・連続的にアジア地域の大都市の環境変化のモニタリングでは、日本の SAR センサである JERS-1 SAR (1992~1998)と ALOS PALSAR (2006~現在)を使用し、ESA の SAR センサである ERS と Envisat ASAR も使用して、継続的かつ安定な都市環境変化をモニタリングすることができる。ここで、VolSAR 法などで SAR の生データから差分干渉 SAR と体積推定法まで処理して、対象地域における様々な環境変化(植生と都市地域)を体積的に解析する予定である。

本研究で様々な研究開発の成果を検証するために、高精度測量用 GPS による現地調査または地上検証実験も行う予定である。現在にいたるまで、研究代表者らは現地または対象市域の環境、人間活動、環境政策などに関する統計情報、旧版地図(外邦図)と最近の地図(topographic maps: 19 世紀、縮尺 1:25,000 と 1:50,000)、地質図(19 世紀~現在)、GIS とディジタル地図、位置(GPS)情報付きの現地写真などを既に収集した。本研究では、これらの資料を使用して、植生、都市環境、地形の変化(図 4 を参照)を調査する予定である。また、これらの資料を活用して、本研究の対象地域であるバンドン市における最新の情報を調査する。海外の現地調査に関して、当大学と研究交流協定を結んでいるバンドン工科大学、パジャジャラン大学などの研究員と大学院生と共同して、高精度測量用 GPS を使用する地上検証実験も行う。この現地調査データとその他のデータを解析して、本研究で解析した SAR 画像の成果と比較検討を行う。

ヨサファット テトォコ スリ スマンティヨ 2009-4図 4. 現地調査データ: インドネシア・西部ジャワ県バンドン市

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2009年9月24日作成

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