Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2009(平成21) 年度 生存圏科学 萌芽研究 3

研究課題

燃料電池利用に向けたケイリン酸塩系有機-無機ハイブリッド膜の電気特性に関する研究

研究組織

 代表者 上田義勝 (京都大学・生存圏研究所)
 共同研究者 徳田陽明 (京都大学・化学研究所)
横尾俊信 (京都大学・化学研究所)

研究概要

将来の生存圏における低炭素化社会に向けたクリーンエネルギー源の一つとして、燃料電池は非常に注目されており、特に中温作動型の燃料電池はポータブル用途での実用化を見据えた研究が広く行われている。その構成に必要な材料(電極、電解質、プロトン伝導性材料など)に関する研究は幅広く行われてきている。電池を構成する Pt 触媒の被毒を防止するためには 150 ℃程度での中温での動作が適切とされているが、その温度域での使用に耐えうる電解質膜が無いため、現状では 80 ℃程度での動作が上限とされている。動作温度の上昇により、発電効率が向上することが知られており(NAFION 比 125 % の報告例あり)、多くの研究開発が試みられているが、今なお十分なパフォーマンスを有する電解質膜は得られていない。本プロジェクトでは、研究協力者の進めてきた有機無機ハイブリッド材料の燃料電池用電解質膜として応用展開を目的とし、その電気特性について詳細な研究を行うものである。共同研究者らは、以下のような新規な無溶媒合成法による、有機無機ハイブリッド材料の合成法を提案してきた(Chem. Matter 2006, J. Ceram. Soc. Japan 2009)。

反応プロセスにおいて溶媒を用いないため、溶媒蒸発に伴うクラック形成が無いこと、ワンポット合成が可能であり作製プロセスが簡便であること、無触媒合成であるため不純物の混入が無いこと、低温プロセスであるため環境負荷が小さいこと、交互共重合型の無機鎖が得られるという特長がある。光硬化によって折り曲げ自在な独立膜を合成し、その電気伝導度は 5×10−3 S/cm@85 ℃であることがわかった(図 1)。この材料に関しては、まだ基礎的実験による起電力測定や、そこから考察される電池としての性能(内部抵抗など)の計測と評価はまだ十分ではなく、本研究でより詳細に研究を進める意義は十分にある。実際の測定に必要な材料は、共同研究者から提供される素材を用い、生存圏研究所・宇宙圏航行システム工学分野において簡単な燃料電池システムを作成し、その特性について評価を行う。

上田義勝 2009図 1 膜厚 110 µm の折り曲げ自在な独立膜

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2009年10月9日作成

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