Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2008(平成20) 年度 生存圏科学 萌芽研究 10

研究課題

2008(平成20)年度萌芽ミッションプロジェクト 10
熱帯樹木のプレニル化フラボノイド分泌に関わる組織学的解析とミツバチの利用形態

研究組織

 代表者 矢崎一史 (生存圏研究所)
 共同研究者 青山卓史 (化学研究所)
熊沢茂則 (静岡県立大学)

研究概要

植物は地球上で、多くの動物や昆虫の生命と生活環境を支えている。その役割は、光合成による CO2 の固定と炭水化物の生産にとどまらず、光合成産物から生産される何十万種とも言われる多彩な植物代謝産物による所が大きく、これら天然有機化合物群は植物を取り巻く動物や昆虫の栄養となり、生活の場を提供し、また感染や温度などの生物学的・物理的ストレスから、自らだけでなく多くの動物や昆虫を守っている。こうした昆虫・動物の相互作用の中でも、ミツバチは人類にとって最も古くから積極的に関わってきた昆虫であり、蜂蜜などの産物は人間生活に長年大きなメリットをもたらしてきた。ミツバチが巣箱の補強や修理に利用する物質が「プロポリス」であるが、プロポリスには以前から抗菌活性、高ウイルス活性、消炎活性、抗酸化活性、抗がん活性などがあることから注目され、ヨーロパを中心に古くから民間薬として多くの人々に利用されてきた。こうした天然物は、人間生活の質の向上(QOL)に取ってもメリットのあるユニークな天然資源として、最近では特に大きな注目を集めるようになってきた。

プロポリスの起源はハチが集める植物種や組織により異なるため、その性質は地域によって大きく違う。例えば、沖縄のミツバチのプロポリスがトウダイグサ科の熱帯樹木のオオバギの果実であることがごく最近の研究で明らかとされた。沖縄のミツバチは、オオバギの果実の表面に存在する白色の粉上の組織を掻き取って巣に運び、巣の隙間や入り口を補強するために使用している。これが沖縄産のプロポリスであるが、最近この物質が非常に高い抗酸化活性があること、またその活性本体がプレニル化フラボノイドであることも併せて明らかにされた。

本研究では、生存圏研究所の矢崎が専門とする有用二次代謝産物の生産とその特徴的な蓄積パターン解析と、腺毛など植物の形態形成の専門家である化学研究所の青山と、沖縄プロポリスの原料植物を同定した静岡県立大学の熊沢の 3 者のチームで取り組む。植物と昆虫と物質の 3 者間の相関をテーマにした本研究は、生存圏研究所の萌芽研究としてふさわしいものであり、当該研究はミッション 1 の環境計測地球再生、ミッション 2 太陽エネルギー利用の両方を包括し、さらに生態系の理解へとカバーする領域を広げるものであると位置づけられる。また、最近生存圏研究所に導入された DASH システムの有効利用にもつながると思われる。

矢崎一史 2008: ミツバチに擦られたオオバギの果実ミツバチに擦られたオオバギの果実

矢崎一史 2008: オオバギを擦ったミツバチの足オオバギを擦ったミツバチの足

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2008年7月22日作成

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