Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2004(平成16) 年度 生存圏科学 萌芽研究 10

研究課題

2004(平成16)年度萌芽ミッションプロジェクト 10
エネルギー収支の確率的変動に基づく生存圏リスク評価の数理モデル開発

研究組織

 代表者 坪内健 (ミッション専攻研究員)
 共同研究者 大村善治 (生存科学計算機実験分野)
紘 (宇宙圏電波科学分野)
川井秀一 (循環材料創生分野)

研究概要

現代において、人間生活圏の生産・消費活動は、宇宙空間圏・大気圏・森林圏といった自然界の物質・エネルギー循環に非平衡状態をもたらし、その結果は互いの共存を不安定なものにしている。この本来対立するプロセス同士の調和を目指すためには、生存圏研究所が研究理念に掲げている、生存圏状態の「診断」とこれを持続可能なものとするための「治療」が必要である。本プロジェクトは前者の「診断」に関して、特に環境の壊滅的な打撃=リスク発生を統計的に評価するというもので、これが生存圏「治療」技術開発の必要性を裏付ける上での基礎データを提供することになる。本研究で目指すのは、生存圏各相内部で生じているリスク現象が他の相との相互作用によって次第に散逸されて「生存圏」システムの維持に至る時系列変動を解明するための数理モデルの構築である。そのための準備として、各リスク現象の時系列特性の詳細な理解が必要となる。

本研究ではまず、宇宙空間圏における「生存圏リスク現象」として地磁気嵐を取り上げる。これは地球磁気圏内に大量に流れ込んできた太陽風プラズマが作る電流の影響で地球磁場が変動する現象であり、放射線帯の粒子フラックス急増による人工衛星の回路損傷や通信障害などをもたらすことから、生存圏持続を脅かす「自然災害」として改めて認識すべきものである。地磁気嵐の規模を示す Dst 指数(1 時間値)の過去 45 年間(1957~2001)のデータセットから、特に強度(Dst < −100 nT)の変動イベントを抽出し、その統計的性質を論じる。個々のイベント発生を互いに独立事象とみなした上で発生頻度や強度分布を検証するが、これを正規分布としてフィッティングを行うと特に地磁気嵐に代表される「極端現象」が過小評価される。そこで本研究では極値統計を適用することで、地磁気嵐発生の分布をより精密に評価し、年単位の発生確率を求める。本解析により、ピーク時に Dst < −100 nT となる磁気嵐の発生頻度がほぼ 1 ヶ月に 1 度程度であることが確認され、更に過去 45 年間で 10 例に見たないような大規模なものに関してもそのレベルを推定した。本研究で得られたパラメータを基に、今後の宇宙天気における地磁気嵐の中・長期予測モデルの作成も計画している。

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