Research Institute for Sustainable Humanosphere

共同研究

2004(平成16) 年度 生存圏科学 萌芽研究 8

研究課題

2004(平成16)年度萌芽ミッションプロジェクト 8
植物・根圏微生物共生系による内分泌攪乱物質の環境浄化技術の開発

研究組織

 代表者 廣岡孝志 (ミッション専攻研究員)
 共同研究者 矢崎一史 (森林圏遺伝子統御分野)

研究概要

今日までの人類活動の急速な拡大は、化石燃料の多量消費による地球温暖化や酸性雨などの大気汚染、重金属類や本来自然界に存在しない合成化学物質による環境汚染など自然生態系に多大な悪影響を与え続けている。近年、その中でも内分泌攪乱物質(Endocrine Disrupting Chemicals: 以下 EDCs)による環境汚染が問題になっている。EDCs は内分泌攪乱作用を有し、非常に低い濃度で人や生態系に影響を与えることが疑われている。環境省から内分泌攪乱作用が疑われる合成化学物質としてリストアップされている物質の多くは、自然界における分解作用に対して高い抵抗性を有しており、長期間環境中に残留し、生態系を構成する生物種に対し多大な悪影響を与えることが懸念されている。従って、これら EDCs の環境浄化技術の開発は、人の健康を守るだけでなく生態系の保全においても重要な課題である。

現在、合成化学物質に対して分解能力を有する微生物種を利用した環境浄化技術いわゆる bioremediation 技術が、従来の物理・化学的な処理技術に変わる環境低負荷かつ低コスト浄化技術として注目されている。しかし、実汚染環境中においては、汚染物質の分解活性維持に必要な微生物種のポピュレーションの維持が難しいことや、汚染物質が低濃度の場合、分解微生物がその物質を十分に分解できないなどの問題があり、bioremediation 技術は実用化にはいたっていない。

一方、植物を用いて汚染環境を浄化する phytoremediation も注目されている。光独立栄養生物である植物は、大気中の CO2 を炭素源として浄化に必要な植物体バイオマスを維持できること、浄化後植物体の回収が比較的容易であるなどの利点を持ち、上記の bioremediation における問題を解決することができる。従って、phytoremediation は、低濃度・拡散汚染を引き起こす物質の浄化に適している。また、回収した植物体は、エタノールなどのバイオマスエネルギー生産の原材料として利用することができる。そこで、工場跡地や廃棄物処分場など EDCs により汚染された土壌を植物により浄化し、得られた植物バイオマスをエネルギー生産に利用する次世代の資源循環型社会に適合した新しい環境浄化技術の開発を着想するに至った。

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