Research Institute for Sustainable Humanosphere

第321回生存圏シンポジウム
中間圏・熱圏・電離圏研究集会

開催日時 2016(平成28)年8月29日(月)13:00~31日(水)15:30
開催場所 情報通信研究機構小金井本部本館4階国際会議室
(東京都小金井市貫井北町4-2-1)
主催者 名古屋大学宇宙地球環境研究所/国立極地研究所/情報通信研究機構/京都大学生存圏研究所
申請代表者 新堀淳樹 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
所内担当者 津田敏隆 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
関連ミッション ミッション1 環境診断・循環機能制御
ミッション3 宇宙生存環境
関連分野 電離圏物理学、プラズマ物理学、超高層大気物理学、気象学。

概要

中間圏・熱圏・電離圏(MTI) Grand Challenge と題するトピックにおいてMTI分野の解決すべき課題を洗い出すため、磁気圏、下層大気とMTI領域の結合過程に関する招待講演とMTI 研究で用いられる観測装置のチュートリアルと進行中の大型計画についての紹介を行った。また、若手発表者(学生、ポスドク)が研究成果を十分に議論できるように、長めのポスター発表を設けた。

目的と具体的な内容

中間圏・熱圏・電離圏(Mesosphere, Thermosphere and Ionosphere; MTI)領域は、太陽や宇宙からの粒子及び電磁エネルギーの流入による影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する領域である。また、同領域は衛星測位に対する誤差要因といった社会応用的な観点からも注目されている。本研究集会は、上記のような MTI 領域の特徴を意識し、この領域で生ずる物理・化学過程の理解を深め、他の研究領域や社会への応用を俯瞰的に捉えることを目的とする。MTI 研究集会は、国内における 中層・超高層大気研究の現状と将来について議論する場になることを目指し、1998(平成10)年度より毎年開催されてきた。

2016(平成28)年度は、これまでの研究集会の目的を継承しつつ、2014(平成26)年度から始まった「MTI Grand Challenge」および「大型プロジェクト紹介」セッションを継続した。これらのセッションでは、近年のMTI領域の研究成果を整理し、現在進行中あるいは計画段階の研究プロジェクト、将来計画を議論することで、様々な機関・世代の研究者が今後の日本の目指すべきMTI領域研究の共同体制を確立するきっかけを作った。また、若手研究者(学生及びポスドク)を中心としたポスターセッションを設けることで、若手研究者にも積極的に発表と議論の場を提供した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

地球大気圏の中でも本研究集会が焦点を当てているMTI領域は、太陽放射と太陽風のエネルギー流入による宇宙空間からの影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動するまさしく宇宙圏と地球大気圏をつなぐインターフェイス領域である。したがって、この領域で発生する諸現象の解明には、MTI分野のみならず、太陽から気象分野で活躍する研究者が連携した学際型の共同研究を進める必要がある。このような共同研究を通じて、分野の枠を超えた研究者コミュニティの形成につながる。また、MTI領域で発生する擾乱現象は衛星測位に対する誤差要因になり、地球上で生活する人類の活動に必要なインフラに影響を及ぼすため、MTI領域の研究結果は社会応用的な側面を持つと考えられる。以上より、本研究集会の内容は、「環境診断・循環機能制御」(新ミッション1)と「宇宙生存環境」(新ミッション3)に深く関連する。

本研究集会の開催により、各研究者がこれまでの中層・超高層大気研究の経緯と最新成果に加えて、現在進行中または計画段階にある大型プロジェクトについて理解を深めつつ、今後、取り組むべき研究内容を国内の研究者間で共有できた。これらの研究内容を共有することによって個々の研究者及び研究グループが現在取り組んでいる研究の位置付けを再確認でき、それらをさらに完成度の高いものへ発展させるような切り口を見つけられると思われる。加えて、若手研究者(学生及びポスドク)が研究の発展につながる指針や知見を得ること、また今後のMTI研究分野の方向性について期待を抱くことにより、若手研究者の育成につながる。

プログラム

8月29日

13:00–13:10 MTI研究会趣旨説明および連絡事項
陣英克(MTI研究会世話人)
MTI Grand Challenge セッション
「成層圏・対流圏から見るMTIとの結合」①
座長:陣英克(情報通信研究機構)
13:10–13:40 Sudden Stratospheric Warming (SSW)
冨川喜弘(国立極地研究所)
13:40–14:10 太陽プロトン現象が引き起こす中層大気でのイオン化学反応の影響:ボックスモデルシミュレーションによる研究
中井陽一(理化学研究所) ,望月優子,丸山真美,秋吉英治,今村隆史
14:10–14:30 休憩
MTI観測チュートリアルセッション
座長:鈴木臣(愛知大学)
14:30–15:00 大気レーダー入門
堤雅基(国立極地研究所)
15:00–15:30 MTI研究のためのライダー観測
津田卓雄(電気通信大学)
15:30–16:00 GPS受信機網を用いた電離圏観測システムの紹介
西岡未知(情報通信研究機構)
16:00–17:30 ポスターセッションコアタイム
ポスターはワークショップの終了まで掲示し,休憩時間などに議論が行えるようにします.

ポスターセッション

  1. GAIA modeling of ionospheric response to a severe solar flare
    Mitsuru MATSUMURA(名古屋大学宇宙地球環境研究所),Kazuo SHIOKAWA, Hiroyuki SHINAGAWA, Hidekatsu JIN, Hitoshi FUJIWARA, Yasunobu MIYOSHI
  2. Electromagnetic energy input to the high-latitude ionosphere
    Lei Cai(名古屋大学宇宙地球環境研究所),Anita Aikio, Tuomo Nygren
  3. オーロラの発生とGPSシンチレーションの関連性についての統計解析 加藤優作(電気通信大学)
  4. 極冠パッチの出現特性に見られる南北非対称性: 低高度衛星を用いた統計解析
    八束 優(電気通信大学)
  5. ノルウェーにおけるGPS受信機を用いたシンチレーションとTEC変動の研究
    坂本明香(名古屋大学)
  6. 高速ナトリウムライダー観測による脈動オーロラが引き起こすナトリウム密度変動の研究
    高橋透(国立極地研究所)、細川敬祐、野澤悟徳、津田卓雄、小川泰信、堤雅基、平木康隆、藤原均、川原琢也、斎藤徳人、和田智之、川端哲也、Hall
  7. 大気光イメージャによる重力波観測における銀河の影響
    松田貴嗣(総合研究大学),中村卓司,江尻省
  8. 全球大気モデルGAIAを用いた中低緯度熱圏・電離圏の主磁場依存性の数値実験
    垰千尋(情報通信研究機構),陣英克,品川裕之,藤原均,三好勉信
  9. CHAMP衛星データによる自動検出を用いた赤道異常の統計的研究
    渡邊祐貴(電気通信大学),細川敬祐,Liu Huixin
  10. Sunrise enhancement of equatorial vertical plasma drifts and its effects
    Libo Liu (Institute of Geology and Geophysics, Chinese Academy of Sciences)
  11. ISS-IMAP/EUVIで観測された電離圏上部Heイオン の南北非対称性の経度変化
    穂積裕太(京都大学),斉藤昭則,吉川一郎,山崎敦,村上豪
  12. 国際宇宙ステーションからの観測による大気光の大規模構造の推定
    北村佑輔(京都大学)
  13. 小型で安価な大気光イメージャを用いたプラズマバブルの観測
    高見晃平(電気通信大学)
  14. インドネシアにおける真夜中過ぎ沿磁力線不規則構造と大気光の同時観測
    大塚雄一(名古屋大学宇宙地球環境研究所),Tam Dao,塩川和夫,山本衛
  15. On the investigation of the cause of post-midnight field-aligned irregularities using GAIA model
    Tam Dao(名古屋大学宇宙地球環境研究所)
  16. Investigation of Equinoctial Asymmetry in the Latitudinal Variation of Zonal Scintillation Drift and Neutral Wind
    Prayitno Abadi(名古屋大学),Yuichi Otsuka, Kazuo Shiokawa, and Clara Y Yatini
  17. The analysis of the ionospheric irregularity using GPS-TEC
    杉山俊樹(名古屋大学),大塚雄一,西岡未知,津川卓也
  18. GPS-TECとHFドップラーを用いた火山噴火に伴う電離圏変動の解析
    長南光倫(千葉大学),中田裕之,大矢浩代,鷹野敏明,冨澤一郎,津川卓也,西岡未知
  19. 超高層大気を伝搬する超低周波の火山爆発音: GNSS-TEC 法による波面構造と音響エネルギー推定の試み
    中島悠貴(北海道大学),青木陽介,西田究,日置幸介
  20. 地震による電離圏全電子数変動の空間分布の解析
    正村駿(千葉大学)
  21. 3次元リアルタイムトモグラフィーによる電離圏擾乱観測
    斎藤享(電子航法研究所),鈴木翔太,山本衛,齊藤昭則
  22. マルチGNSSを利用した電離圏TEC推定
    衣笠菜月(横浜国立大学),高橋冨士信,河野隆二
  23. スマートフォン活用GNSS/GPS衛星群電波望遠鏡による連続観測
    高橋冨士信(横浜国立大学)
  24. On the progress of radio propagation simulator
    Kornyanat Watthanasangmechai(情報通信研究機構), Takashi Maruyama, Mamoru Ishii, Takuya Tsugawa, Susumu Saito

8月30日

宇宙空間からの地球超高層大気観測セッション①
09:30–09:45 宇宙空間からの中間圏・熱圏・電離圏観測に向けて
齊藤昭則(京都大学)
09:45–10:05 これまでのMTI領域の衛星観測
Huixin Liu(九州大学)、藤原均(成蹊大学)
10:05–10:25 ISS-IMAPによるISSからの超高層大気観測
齊藤昭則(京都大学)、山崎敦(JAXA/ISAS)、坂野井健(東北大学)、吉川一朗(東京大学)
10:25–10:45 Ionospheric weather monitored by ground- and space-based GPS observational systems
Yang-Yi Sun(九州大学) and Tiger Jann-Yenq Liu
10:45–11:05 SMILESが明らかにした中層大気科学の新展開と課題
塩谷雅人(京都大学生存圏研究所)、今井弘二(NICT)
11:05–11:30 日本の観測ロケット実験の現状と将来の方向性について
阿部琢美(JAXA/ISAS)
11:30–11:55 超小型衛星による電磁圏観測の展望
高橋幸弘(北海道大学)
11:55–13:30 昼食・休憩
MTI 大型計画紹介セッション
座長:新堀淳樹(京都大学生存圏研究所)
13:30–14:00 地上多点ネットワーク観測による内部磁気圏の粒子・波動の変動メカニズムの研究(PWING Project)
塩川和夫(名古屋大学宇宙地球環境研究所)
14:00–14:30 EISCAT_3D計画の現況
宮岡宏(国立極地研究所)、小川泰信、中村卓司、野澤悟徳、大山 伸一郎、藤井良一、Craig Heinselman
MTI Grand Challenge セッション
「磁気圏・プラズマ圏から見るMTIとの結合」
14:30–15:00 SuperDARN北海道-陸別HFレーダーによるMTI領域間相互作用の研究
西谷望(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、SuperDARN北海道-陸別HFレーダーグループ
15:00–15:20 休憩
座長:横山竜宏(情報通信研究機構)
15:20–15:50 磁気圏電場の伝送路としてのMTI領域
菊池崇(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、橋本久美子、海老原祐輔、冨澤一郎、亘慎一、田中高史
15:50–16:20 磁気圏グローバルモデル内部境界条件の概要と再考
中溝葵(情報通信研究機構)、吉川顕正、中田裕之
16:20–16:50 Alfven波による一般化された3次元磁気圏電離圏結合
吉川顕正(九州大学)
16:50–17:20 地球プラズマ圏ダイナミクスと電離圏・熱圏との結合過程
新堀淳樹(京都大学生存圏研究所)
懇親会@研究交流棟

8月31日

宇宙空間からの地球超高層大気観測セッション②
09:30–09:50 STP-MTI分野のロードマップについて
中村正人(JAXA/ISAS)
09:50–10:10 ERG衛星の現状と計画:三好由純(名古屋大学)
オーロラ観測編隊衛星の検討状況:浅村和史(JAXA/ISAS)[代読]
10:10–10:25 超低高度衛星技術試験機 (SLATS)の開発状況
佐々木雅範(JAXA)
10:25–10:40 超低高度衛星の将来構想
星野宏和(JAXA)
10:40–11:00 SMILES-2に向けた開発状況とサブミリ波大気観測衛星の最近の動向
落合啓(NICT)、Philippe Baron、入交芳久、鵜沢佳徳、西堀俊幸、真鍋武嗣、水野亮、鈴木睦、塩谷雅人
11:00–11:20 Simulation study for upper-atmospheric wind, temperature and trace gases measurements with sub-millimeter and THz limb sounders
Philippe BARON(NICT), Hideo SAGAWA, Donal MURTAGH, Satoshi OCHIAI, Naohiro MANAGO, Hiroyuki OZEKI, Yoshihisa IRIMAJIRI, Yoshinori UZAWA, Masato SHIOTANI, Makoto SUZUKI
11:20–12:00 今後の衛星計画の進め方についての議論
12:00–13:30 昼食・休憩
MTI Grand Challenge セッション
「成層圏・対流圏から見るMTIとの結合」②
座長:冨川喜弘(国立極地研究所)
13:30–14:00 PANSYレーダーによって観測された下部中間圏準12時間振動に関する研究
澁谷亮輔(東京大学)、佐藤薫、堤雅基、佐藤亨、冨川喜弘、西村耕司、中村卓司、高麗正史
14:00–14:30 衛星観測および全大気モデルデータに基づく中間圏・下部熱圏の運動量収支
安井良輔(東京大学)、佐藤薫、三好勉信
14:30–15:00 Thermosphere and Ionosphere inter-annual variability and its potential connection to ENSO and QBO
Huixin Liu(九州大学)、Yang-Yi Sun
15:00–15:30 総合討論

ページ先頭へもどる
2016年8月23日作成,2016年10月12日更新

一つ前のページへもどる