Research Institute for Sustainable Humanosphere

第292回生存圏シンポジウム
平成27年度「MTI 研究集会」「ISS-IMAP 研究集会」「SLATSワークショップ」合同研究集会

開催日時 2015(平成27)年8月31日(月)13:00~9月2日(水)15:00
開催場所 情報通信研究機構小金井本部本館4階 国際会議室(東京都小金井市貫井北町4-2-1)
主催者 名古屋大学太陽地球環境研究所、国立極地研究所、情報通信研究機構、京都大学生存圏研究所、宇宙航空研究開発機構
申請代表者 新堀淳樹(京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
所内担当者 津田敏隆(京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
ミッション 3 (宇宙環境・利用)
関連分野 電磁圏物理学、超高層大気物理学、中層大気科学。

目的と具体的な内容

中間圏・熱圏・電離圏(Mesosphere, Thermosphere and Ionosphere: MTI)領域は、太陽や宇宙からの粒子及び電磁エネルギーの流入による影響に加え、下層大気から伝搬する大気波動などによって激しく変動する領域である。また、同領域は衛星測位に対する誤差要因をもたらすため、社会応用的な観点からも注目されている。本研究集会は、上記のようなMTI領域の特徴を意識し、この領域で生じている物理・化学過程の理解を深め、他の研究領域や社会への応用を俯瞰的に捉えることを目的とする。MTI研究集会は、国内におけるMTI研究の重要な議論の場となることを目指し、1998(平成10)年度より毎年開催されてきた。2015(平成27)年度は、これまでの研究集会の目的を継承しつつ、2014(平成26)年度から始まった「MTI Grand Challenge」および「大型プロジェクト紹介」セッションを継続した。これらのセッションでは、様々な機関・世代の研究者が今後の日本の目指すべき MTI 領域研究の共同体制を確立するきっかけを作るため、近年のMTI領域の研究成果を整理し、現在進行中あるいは計画段階の研究プロジェクト、将来計画の議論を行った。また、若手研究者を中心としたポスターセッションを設けることで、若手研究者(学生及びポスドク)にも積極的に発表と議論の場を提供した。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

中間圏・熱圏・電離圏(MTI)領域は、太陽活動と下層大気から伝搬する大気波動の影響を受けて変動するため、これらの領域を一つの結合システムとして捉え、そこで生じる物理・化学過程の理解を深める必要がある。本研究集会の開催により、これまでのMTI領域におけるダイナミクス、化学過程についての研究経緯と最新成果だけでなく、近隣の分野(磁気圏物理、下層・中層大気物理)における最新の研究結果の理解が進み、今後取り組むべき重要課題や問題点を国内の研究者間での共有ができた。さらにマスタープラン2014に選定されている大型研究プロジェクト「赤道MUレーダー計画」についての情報共有がなされた。今後、本研究集会で議論されたMTI領域における変動現象の理解を通じて、生存圏科学の発展に必要な地球大気環境変動の測定と監視が強化されるものと考えられる。また、個々の研究者及び研究グループが現在取り組んでいる研究課題の位置付けを再確認し、それらをさらに完成度の高いものへ発展させる糸口をつかめることになった。加えて、若手研究者が研究の発展につながる指針や知見を得ること、また今後のMTI研究分野の方向性について期待を抱くことにより、今後の生存圏科学の発展を担う若手研究者の育成につながることが期待される。

プログラム

8月31日

13:00–13:10 MTI研究会趣旨説明および連絡事項
陣英克(MTI研究会世話人)
  MTI Grand Challenge セッション
「大気上下結合解明に向けたMTIの科学 —飛翔体観測の役割—」その1
座長:横山竜宏(情報通信研究機構)
13:10–13:40 世界の超小型衛星計画の動向と日本が目指すべき方向
高橋幸弘(北海道大学)
13:40–14:10 飛翔体を用いたMTI研究の現状と将来に期待すること
阿部琢美(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
14:10–14:40 下部熱圏/中間圏の風/気温計測を目指す70K冷却テラヘルツ・サブミリ波衛星観測提案 —波長帯選択、観測性能、衛星仕様—
鈴木睦(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
14:40–14:50 休憩
  MTI Grand Challenge セッション
「極域と中低緯度現象の相違点から理解するMTIの科学」その1
座長:新堀淳樹(京都大学生存圏研究所)
14:50–15:20 ライダー・レーダー観測からみる下部熱圏・中間圏の変動現象
野澤悟徳(名古屋大学太陽地球環境研究所)
15:20–15:50 中緯度SuperDARNレーダーによる緯度間結合の研究
西谷望(名古屋大学太陽地球環境研究所)
15:50–16:20 極域電離圏から磁気圏へのプラズマ流出
北村成寿(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
16:20–17:50 ポスターセッション コアタイム
# ポスターはワークショップの終了まで掲示し、休憩時間などに議論が行えるようにします。

  • 上部成層圏と下部中間圏での成層圏突然昇温の特徴の比較
    坂野井和代(駒澤大学)、木下武也、佐藤薫、村山泰啓
  • Poker Flat MF radar観測データで観測された中間圏重力波に伴う半日潮汐の振幅変調に関する研究
    木下武也(情報通信研究機構)、村山康弘、川村誠治
  • 北海道に展開する多点カメラネットワークによって捉えた日本初の夜光雲イベント
    鈴木秀彦(明治大学)、坂野井和代、西谷望、小川忠彦、江尻省、久保田実、坂口歌織、村山泰啓、藤吉康志
  • 地磁気日変動振幅から見積もられる下部熱圏における風速の長期変動について
    新堀淳樹(京都大学 生存圏研究所)、小山幸伸、能勢正仁、堀智昭、大塚雄一
  • HFDと微気圧計による台風通過時の大気波動のスペクトル解析
    平林慎一郎(千葉大学)、中田裕之、鷹野敏明、冨澤一郎
  • GEONETを用いた火山噴火に伴う電離圏全電子数の変動の検出
    長南光倫(千葉大学),中田裕之,大矢浩代,鷹野敏明,津川卓也,西岡未知
  • HFDにより観測された地震に伴う電離圏擾乱と地震動の関係
    高星和人(千葉大学)、中田裕之、鷹野敏明、冨澤一郎、長尾大道
  • HFドップラー観測と中性大気波動のシミュレーションによる地震に伴う変動の比較
    吉川晃平(千葉大学)、高星和人、中田裕之、鷹野敏明、松村充、品川裕之、冨澤一郎
  • Ionosonde tracking of infrasound wavefronts in the thermosphere launched by seismic waves after the 2010 M8.8 Chile earthquake
    丸山隆(情報通信研究機構)、Kamil Yusupov、Adel Akchurin
  • 国際宇宙ステーションからの撮像観測を用いた大気光輝度の不連続の三次元構造の推定
    佐藤大仁(京都大学)、齊藤昭則、秋谷祐亮、穂積裕太
  • CHAMP衛星を用いた赤道異常に関する統計的研究
    渡邊祐貴(電気通信大学)、細川敬祐、Huixin Liu
  • スポラディックE層内の電子温度・電子密度構造に関する数値的検討
    坂本優美花(東海大学)、阿部琢美、三宅亙
  • East-west asymmetric of scintillation occurrence in Indonesia using GPS and GLONASS observations
    Prayitno Abadi (STEL, Nagoya University), Yuichi Otsuka, Susumu Saito, Kazuo Shiokawa
  • インドネシアにおける電離圏擾乱のGPS観測
    大塚雄一(名古屋大学太陽地球環境研究所)、Prayitno Abadi、塩川和夫、小川忠彦、Effendy
  • Low latitude SSTID observed by sparse GPS network: A case study
    K. Watthanasangmechai (RISH, Kyoto University), M. Yamamoto, A. Saito, T. Yokoyama, M. Nishioka and M. Ishii
  • 中緯度域に見られる中規模移動性電離圏擾乱の時間変動の解析
    池田孝文(京都大学)
  • Propagation characteristics of mesospheric gravity waves observed by the Antarctic airglow imager network (ANGWIN)
    Takashi S. Matsuda (The Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI)), Takuji Nakamura, Mitsumu K. Ejiri, Masaki Tsutsumi, Michael J. Taylor, Yucheng Zhao, P.-Dominique Pautet, Damian Murphy, Tracy Moffat-Griffin
  • 高緯度帯のGPS観測網を用いた中規模伝搬性電離圏擾乱の統計的性質及び発生メカニズムの考察
    溝口拓弥(名古屋大学太陽地球環境研究所)、大塚雄一、塩川和夫、津川卓也、西岡未知
  • ノルウェー・トロムソにおけるGPS受信機を用いた電離圏シンチレーションの観測
    上蔀広大(名古屋大学太陽地球環境研究所)、大塚雄一、小川泰信、細川敬祐
  • 全天大気光イメージャと非干渉散乱レーダーによるポーラーパッチの3次元空間構造の解析
    吉田和晃(電気通信大学)、細川敬祐、塩川和夫、大塚雄一
  • CHAMP衛星による電子密度その場観測を用いたポーラーパッチの統計解析
    八束優(電気通信大学)、細川敬祐、Huixin Liu
  • 2015年3月17–18日の磁気嵐と日本で見られた低緯度オーロラについて
    塩川和夫(名古屋大学太陽地球環境研究所)、大塚雄一、西谷望、山本衛
  • パルセーティングオーロラ出現時における中間圏ナトリウム密度減少
    高橋透(電気通信大学)、細川敬祐、野澤悟徳、津田卓雄、小川泰信、川原琢也、平木康隆、坂井純、斎藤徳人、和田智之、川端哲也、Chris Hall
  • 脈動オーロラ中の高エネルギー降下電子と中層大気へのインパクト予測
    大山伸一郎(名古屋大学太陽地球環境研究所)、三好由純、齊藤慎司、Esa Turunen, Antti Kero, Pekka Verronnen
  • 高エネルギー粒子の降り込みに対する南半球中層大気の応答
    冨川喜弘(国立極地研究所)

9月1日

  MTI大型計画紹介
座長:鈴木秀彦(明治大学)
09:30–10:00 赤道MUレーダー計画の現状
山本衛(京都大学生存圏研究所)
10:00–10:15 観測ロケット実験の戦略的推進について
阿部琢美(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
10:15–10:30 休憩
  MTI Grand Challenge セッション
「大気上下結合解明に向けたMTIの科学 —飛翔体観測の役割—」その2
座長:鈴木臣(愛知大学)
10:30–11:00 熱圏大気の構造と運動
渡部重十(北海道情報大学)
11:00–11:30 Thermosphere Response to External Forcing: Decadal Observations from the CHAMP mission
Huixin Liu(九州大学)
11:30–12:00 SWARM衛星で観測される中低緯度微細沿磁力線電流とその成因
家森俊彦(京都大学)、中西邦仁、青山忠司
12:00–13:00 昼食
  MTI Grand Challenge セッション
「極域と中低緯度現象の相違点から理解するMTIの科学」その2
座長:冨川喜弘(国立極地研究所)
13:00–13:30 成層圏力学過程を通しての太陽活動シグナルの極域、熱帯域における下向き伝播
小寺邦彦(名古屋大学太陽地球環境研究所・三重大学)
13:30–14:00 PANSYレーダーを用いた極域中間圏夏季エコー (PMSE) と中間圏界面付近の風速の統計解析
高麗正史(東京大学)
14:00–14:30 対流圏~中間圏における大気潮汐の全球構造
坂崎貴俊(京都大学生存圏研究所)
14:30–15:00 休憩
  ISS-IMAP セッション ①
座長:齊藤昭則(京都大学)
15:00–15:20 ISS-IMAPミッションの状況
齊藤昭則(京都大学)、IMAPワーキンググループ
15:20–15:40 IMAP/VISI最新状況報告
坂野井健(東北大学)、IMAP/VISIチーム
15:40–16:00 3-years Occurrence Variability of Concentric Gravity Waves in the Mesopause Observed by IMAP/VISI
Septi Perwitasari(東北大学)、坂野井健
16:00–15:20 GAIAモデルデータを用いた大気重力波レイトレーシング手法の開発
久保田実(情報通信研究機構)
16:20–16:40 宇宙ステーションからの撮像画像を用いた中間圏大気光の大気波動の研究
穂積裕太(京都大学)、斉藤昭則、坂野井健、秋谷祐亮、山崎敦
16:40–17:00 ISS/IMAP-VISIとGPS-TECを用いたメソスケール電離圏擾乱の研究
西岡未知(情報通信研究機構)、津川卓也、横山竜宏、齊藤昭則、坂野井健、秋谷祐亮、 穂積裕太、大塚雄一、石井守
17:00–17:20 ISS-IMAPデータを用いた赤道プラズマバブルの抽出とその発生頻度分布
中田裕之(千葉大学)、高橋明、齊藤昭則、坂野井健
17:20–17:40 国際宇宙ステーションからの630 nm大気光観測による赤道域プラズマバブルの研究
山田貴宣(名古屋大学太陽地球環境研究所)、大塚雄一、坂野井健、山崎敦、久保田実、陣英克、齊藤昭則、秋谷祐亮、穂積裕太
18:00–20:00 懇親会@研究交流棟(MTI研究会・ISS-IMAP研究集会・SLATS WS合同)

9月2日

  ISS-IMAP セッション ②
座長:大塚雄一(名古屋大学太陽地球環境研究所)
09:30–09:50 IMAP/EUVIで観測された上部電離圏のHeイオンの構造とGAIA、SAMI2モデルを用いた検証
穂積裕太、齊藤昭則、吉川一朗、村上豪、山崎敦
09:50–10:10 観測終了後のISS-IMAPデータ利用について
齊藤昭則(京都大学)、IMAPワーキンググループ
  MTI領域の次期衛星観測提案に関するディスカッション
10:10–12:00 次期衛星観測提案に関する議論
齊藤昭則(京都大学)+ MTI 研究会世話人
12:00–13:00 昼食
  第2回「超低高度衛星の利用に向けた超高層大気ワークショップ」
事務局:川崎春夫、星野宏和(宇宙航空研究開発機構)
13:00–13:10 趣旨説明(事務局)
13:10–13:30 基調講演:低高度衛星観測から期待される超高層大気研究の進展(藤原均・成蹊大学)
13:30–13:45 報告:アンケート結果報告(案)(事務局)
13:45–14:45 議論:超低高度衛星の利用に向けた超高層大気ミッションについて(案)(事務局・参加者)
14:45–15:00 まとめ(選考委員についてなどについて)

一つ前のページへもどる
2015年8月25日作成,2015年12月1日更新

一つ前のページへもどる