Research Institute for Sustainable Humanosphere

第270回生存圏シンポジウム
第3回植物二次代謝フロンティア研究会
—植物二次代謝の統合的理解を目指して—

開催日時 2014/11/23(日) 11:00–15:30
開催場所 小田原お堀端コンベンションホール (神奈川県小田原市)
主催者 植物二次代謝フロンティア研究会、京都大学生存圏研究所
申請代表者 飯島陽子 (神奈川工科大学応用バイオ科学部)
所内担当者 鈴木史朗 (京都大学生存圏研究所森林代謝機能化学分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)
関連分野 植物バイオテクノロジー、物質生産、食料生産。

目的と具体的な内容

植物二次代謝フロンティア研究会は、植物二次代謝を研究する若手研究者らが中心となって 2012 年より活動を行っている研究会である。植物二次代謝研究分野の発展と、最先端の研究情報の交換、研究者間の交流を目的として年 1 回、公開の研究集会を行っている。今回は第 3 回にあたり、植物二次代謝研究に役立つツールの開発、メタボロームやトランスクリプトームなど大規模データをもとに二次代謝の機能解明や多様性について研究、二次代謝の生成と機能を展開している活発な研究者を講師として迎え、二次代謝の統合的理解について深めることを目的とした。

シンポジウムでの講師推薦についてはあらかじめ研究会内で議論し、最終的に 9 名の講師を推薦し(内生存圏研究所研究者 1 名)、承諾を得た。そのうち 7 名は本研究会外の研究者であり、それぞれ最新の興味深い研究発表がなされた。プログラムは3部構成とし、第1部では二次代謝研究におけるメタボローム解析の応用、次世代シークエンサーデータの活用、大規模データのマイニング、ツールについて紹介された。第 2 部では、メタボローム解析、酵素の進化、タンパク構造工学の点から二次代謝成分の多様性の理解について発表がされた。第3部では、実際の二次代謝生合成について、その生物学的役割、食嗜好における影響、環境との関わりなど、二次代謝生成の意義と絡めた研究発表がなされた。各発表は質疑応答を含めて 25 分と設定し行ったが(研究会内発表者は 20 分)、質疑応答が非常に活発で、終了予定時間よりも 1 時間近く延長され、充実したシンポジウムとなった。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

植物二次代謝成分は、医薬品、染料、食品などとして有用であり、人類の生活になくてはならない存在となっているが、そのほとんどは天然の代謝物に頼らざるを得ないのが現状である。しかし、有用な二次代謝成分の生成はそれぞれ特定の植物でしか行われないことも多く、その生産量は極めて少ない。さらに、その原料となる植物には、環境破壊によって絶滅に瀕していることも多いことが知られている。従って、植物二次代謝研究の推進は、持続ある植物資源の開発や物質生産系確立に大きく寄与すると期待される。また一方で、植物二次代謝生成は、植物自体においても生体防御、受粉誘引など他の生物とのコミュニケーションに大きく関わっていることが知られている。特に植物が生み出す二次代謝成分は最終産物であることが多い。これらのことは、二次代謝成分の生成を指標、手掛かりにすれば、周囲環境の科学的理解、さらには生存圏全体の環境の理解を深めることも可能であるといえる。以上より、関連する分野の研究者が集まり、二次代謝研究に関して討議する本シンポジウムの開催は、生存圏科学の発展に役立つと考えている。

植物二次代謝の研究は、生合成そのものの研究のみならず、生成物のもつ様々な生理活性機能研究を中心に、植物生理、化学生態学、薬学、食品科学など他の研究分野との関わりが大きい。本研究会の成果は、このような関連分野との関わり、分野融合的な研究へ発展することができると考えている。

プログラム

11:00 開会のあいさつ
飯島陽子
11:05 植物メタボローム技術の開発と応用利用
澤田有司 (理研環境資源科学研究センター)
11:30 二次代謝生合成研究に役立つ次世代シークエンサの活用法
鈴木秀幸 (かずさDNA研究所)
11:55 生物ビッグデータを集めて情報を高度化する
尾形善之 (大阪府立大学)
 
12:20 休憩 (昼食)
 
   座長: 鈴木史朗 (京都大学)
13:00 植物二次代謝の多様性を捉える
松田史生 (大阪大学)
13:25 テルペン・イソプレノイド酵素の進化デザイン
梅野太輔 (千葉大学)
13:50 二次代謝多重遺伝子ファミリーの分子進化
河合洋介 (東北大学)
 
14:15 休憩
 
   座長: 肥塚崇男 (山口大学)
14:25 シロイヌナズナにおけるフラボノイド多様性の包括的理解
榊原圭子 (理研環境資源科学研究センター)
14:50 チャの揮発性香気成分の生合成
大西利幸 (静岡大学)
15:10 ダイズ根からのフラボノイドの分泌と根圏での運命
杉山暁史 (京都大学)
15:30 閉会

その後、研究会会議 (17:00 まで)

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