Research Institute for Sustainable Humanosphere

第262回生存圏シンポジウム
地球惑星科学の持続的発展をめざした教育の充実

開催日時 2014/09/27(土) 13:30–17:50 - 2014/09/28(日) 9:40–15:00
開催場所 京都大学生存圏研究所 木質ホール3階
主催者 中村尚 (東京大学先端科学技術研究センター)
申請代表者 中村尚 (東京大学先端科学技術研究センター)
所内担当者 津田敏隆・塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 地球惑星科学、科学教育。

関連分野

地球惑星科学、科学教育。

目的と具体的な内容

「若者の理科離れ」が言われて久しいが、その原因の一つは、大学受験における理科の勉強方法が単なる羅列的知識の暗記に追い込まれていることも問題である。人類の生存に必要な領域と空間である「生存圏」の研究の持続的発展を図るためには、小・中・高校において、「身近な事物から大自然の奥深さと美しさを実感すること」、すなわち「センス・オブ・ワンダー」の豊かな感性を育てることとが大事である。また、大学・大学院教育では、学問が学際化・多様化されていくなかで、生存圏科学のような複合科学をどう教えるかについての検討が必要である。さらに最近の宇宙・地球観測技術の発展は目覚しいが、研究予算が大型化していくなかで、先端的研究の推進には広範な人間社会の理解と支援が不可欠であり、そのための有効なアウトリーチの方法の検討も必要である。本研究集会は、日本学術会議地球惑星科学委員会や日本地球惑星科学連合(JpGU)教育問題検討委員会との連携のもとに、地球惑星科学の学校教育が現在抱えている問題点を明らかにし、それに対応する有効な方策を探ることを目的として、2014 年 9 月 27~28 日に生存圏研究所木質ホールで開催された。

2 日間にわたる集会では大学・大学院の地学教育のセッションで 7 件、中学・高校の地学教育のセッションで 8 件、地学・天文教育のアウトリーチのセッションで 5 件の研究発表のほか竹本修三京大名誉教授による基調講演や津田敏隆生存圏研所長の特別講演もあり、活発な討論が行われた。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

生存圏科学の持続的発展を図るためには、その基礎として、初等・中等教育における「若者の理科離れ」を食い止めなければならない。そのためには、学校教育の理科のなかの特に地学がどういう状況に置かれているかを把握する必要がある。そのうえで改善の方向性を見出そうとするのがこの研究集会を開催した最初の趣旨である。次に、大学・大学院教育においては、「大学教育の分野別質保証の在り方」に関して生存圏科学のような複合科学をどう扱うかを検討する必要がある。これは、次世代研究者を育てる問題にも関係する。さらに、研究経費を必要とる先端的研究などが人間社会にどう役立っているかを説明するアウトリーチの方法を検討し、国民の理解と支援を得られるような道を探るのが研究集会の3つ目の趣旨であり、いずれも生存圏科学研究の将来と関わっている。

学校教育科目理科のなかで、地学は地球・惑星の起源やその進化・変動など、人類が抱く根源的な問いに答え、地震・津波・火山噴火・台風・洪水・地すべりなどの人間社会の生活に密着した生存圏の諸現象の教育を担っているにも拘わらず、地学教育の先細りが懸念されている。このような状況のなかで、本研究集会では小中高校及び大学・大学院における地学教育の現状を語り合い、その問題点を検討するとともに、地学教育のなかで生存圏科学のような複合科学の分野横断的な学際教育や防災知識の普及をどのように扱うべきかを議論した。この集会で提起された意見は、生存圏科学の発展に寄与するものである。

プログラム

印刷用PDFファイル(868 333 バイト)宇治構内案内図付き

2014年9月27日 (土)

13:10 受付
   開会挨拶及び基調講演
13:30–13:40 中村尚 (東大・先端科学技術研究センター)
開会挨拶
13:40–14:20 竹本修三 (京大名誉教授)
基調講演: 大学法人化後10年の地学教育
   座長: 中村尚
セッション1: 主に大学・大学院の地学教育
14:20–14:40 秋友和典 (京大・院・理・地球惑星科学専攻地球物理)
京大全学共通科目B群科目部会(地学)に関して
14:40–15:00 宮崎真一 (京大・院・理・地球惑星科学専攻地球物理)
京大地物教室が提供している学部科目の構成と狙い
15:00–15:20 角縁進 (佐賀大学・文化教育学部理数教育講座)
教員養成コースの地学教育
15:20–15:30 休憩
15:30–15:50 大村誠 (高知県立大学・文化学部)
高知県立大学の地学教育・防災教育について
15:50–16:10 向井厚志 (奈良産大学情報学部)
私立大学の非理系学生を対象とした地学教育について
16:10–16:30 藤沢健太 (山口大学・時間学研究所)
日本における天文学者の分布
16:30–16:50 中串孝志 (和歌山大学・観光学部)
地方国立大学での天文アクティビティ
16:50–17:10 中島健 (滋賀県立大津清陵高等学校通信部)
高校「科学と人間生活」の課題と次期教育課程への展望
17:10–17:50 特別講演
津田敏隆 (京大・生存圏研究所)
日本地球惑星科学連合がめざす道
18:15–19:45 懇親会
黄檗プラザレストラン「きはだ」

 

2014年9月28日 (日)

09:30 受付
   座長: 畠山正恒
セッション2: 中学・高校の地学教育
09:40–10:00 畠山正恒 (聖光学院中学・高等学校)
21世紀の理数系教育に求められるもの
10:00–10:20 宮嶋敏 (埼玉県立深谷第一高等学校)
次期高校学習指導要領改訂へのJpGU及び諸学会、学術会議の取組み
10:20–10:40 小尾靖 (神奈川県立向の岡工業高等学校 定時制・総合学科)
現行の地学基礎の内容を基盤にした選択必履修科目の提案
10:40–11:00 上村剛史 (海城中学・高等学校)
地球人として必要な内容を基盤にした総合的な理科の提案
11:00–11:20 根本泰雄 (桜美林大学・自然科学系)
世界の地球科学教育の現状とJpGUで考えるC案の提唱に向けて
11:20–11:40 岡本義雄 (大阪教育大学・附属高校天王寺校舎地学科)
地学教育を取り巻くアンビバレンツな2つの問い
11:40–12:00 和田充弘 (大阪府立泉北高等学校)
新課程『地学基礎』と『考える力』について
 
12:00–13:00 昼食・休憩
   座長: 塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所)
セッション3: 地学・天文教育のアウトリーチ
13:00–13:20 青木成一郎 (京大・附属天文台)
地学教育のアウトリーチ —京都千年天文学街道
13:20–13:40 川辺文久 (文部科学省)・茨木孝雄 (杉並区立科学館)
都市部の科学教育施設の光と影
13:40–14:00 杉憲子 (共立女子大)
国際地学オリンピックについて
14:00–14:20 前田晴良 (九大総博)・大野照文 (京大総博)・渡辺順也 (京大・理院)
学生との共同作業による関東大震災 —貴重資料の再発見
14:20–14:40 茂木耕作 (海洋研究開発機構)
モテサク先生にグーグル先生よりも勝る価値はあるのか? ~気象学から気象楽へ~
14:40–15:00 まとめ
中村尚 (東大・先端科学技術研究センター)
15:00 閉会

 

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