Research Institute for Sustainable Humanosphere

第243回生存圏シンポジウム
東南アジアにおける衛星測位データの有効活用に関する国際シンポジウム
International Symposium on Meso-scale Meteorology Using GPS, Radars and Numerical Models

開催日時 2014/01/13(月) 8:00–18:00
開催場所 インドネシア共和国バンドン市 Aston Primera Pasteur Hotel, Jl. Dr. Djunjunan 96, Pasteur, Bandung, Indonesia
主催者 津田敏隆(京都大学生存圏研究所)
申請代表者 津田敏隆 (京都大学生存圏研究所大気圏精測診断分野)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
関連分野 大気科学分野。

目的と具体的な内容

インドネシア共和国ではジャワ島を中心に、日本のGEONETに倣ったGPS連続観測網を構築している。地殻変動・津波監視のみならず、その有効な活用方法をGNSSデータを用いる専門家を日本・インドネシアなどより招集して議論することによって、学際融合的な分野を創出していきたいと考えている。この度、インドネシア測量地図庁(Badan Informasi Geospasial: BIG)の測地・地球物理ネットワーク監視センターと京都大学生存圏研究所が赤道域での大気圏・電離圏ダイナミクス研究において共同研究協定を締結することとなり、このシンポジウムは、共同研究のキックオフという意味で関連する研究者の研究成果を相互に共有することを目的とする。

ワークショップでは、日本から 7 人(京都大学、気象研究所、JAXA)、インドネシアから7人(バンドン工科大学、BIG、インドネシア航空宇宙庁、インドネシア気象庁、スラバヤ工科大学)の計 14 人による講演及び、討論が行われた。講演は 4 つのセッションから成り、それぞれのセッションにおいて、両国の全国規模の GNSS 受信機網と可降水量観測の現状、モンスーンの影響を受けるインドネシアでの下層水蒸気観測の重要性および京都大学がインドネシアで行った GPS 気象学の観測実験と解析結果、数値モデルとデータ同化への利用、及びバンドン市における高精度気象レーダー観測と GPS 可降水量観測の比較解析の必要性についての議論が行われた。また、対流圏におけるメソスケール対流が対象とする中心現象であったが、インドネシアにおけるGPS観測データを用いた電離圏の力学研究についての発表もなされた。

インドネシアでは、100 を超える GNSS 受信機が地上気象センサーとともに設置されており、それらの点においては正確な可降水量観測が行える事が分かった(日本の GEONET は、約 1300 の受信機から構成されるが、必ずしも気象センサーは設置されているわけではない。)。しかし、これらの観測点はジャワ島に集中して展開されており、今後、密な観測網を全土に拡大する事が重要であると考えられる。インドネシアの受信機を用いた可降水量分布図が示された際に、地形の影響を除去するための補正の必要性及びその際に使用する内挿した地上気圧値への可降水量値の鋭敏性の問題が日本側から指摘された。

また、インドネシア気象庁におけるデータ同化研究でレーダーデータをメソ気象モデルに同化した結果が示された。議論では、インドネシア気象庁における可降水量データの同化についての質問が出たが、現段階では同化は行われていない事が分かった。メソ対流系の予報には、水蒸気データの同化が重要であり、今後 BIG とインドネシア気象庁との連携により GNSS 可降水量の同化研究が行われる事が期待される。

バンドン市でインドネシア航空宇宙庁が行った高精度気象レーダーによる積乱雲の観測結果が示された。鉛直断面を含む熱帯性の積乱雲の詳細構造を観測できる事が分かった。レーダー観測は、京都大学がバンドン市で行った GPS 可降水量観測キャンペーンと同時に行われており、これらの高分解能データの複合解析による熱帯性のメソ対流現象の機構解明が行えると期待される。

生存圏科学の発展や関連コミュニティの形成への貢献

今回の意見交換により、我々が関わっている生存圏ミッション「環境計測・地球再生」の一環として、GPS 可降水量を利用した気象予報、電離圏監視により宇宙天気予報という新たなり活用法を提案することによって、国土の安全・安心のためのインフラとして必要であることを訴えることができた。

インドネシアは、すでにさまざまな生存圏研究の拠点として現地研究機関と共同研究を実施してきた。大気圏に関する研究では、赤道大気レーダー(EAR)がコトタバンに整備されてから、今年で 11 年目となり、数多くの成果を挙げてきた。上記の期待される効果にもあるように、赤道付近に東西に細長い全土にGPS連続観測網が展開されるようになれば、さまざまな観測機材を複合的に用いることによって、赤道付近の大気現象を面的にグローバルな視点で観測・解析・解釈することができるようになると考えられる。このシンポジウムをぜひその出発点としたい。

プログラム

08:00–08:15 Registration
08:15–08:30 Opening Remarks
Prof. Toshitaka Tsuda (RISH, Kyoto University)
Dr. Tri Wahyu Hadi (Bandung Institute of Technology)
 
   Session (1) Chair: Tri Wahyu Hadi
08:30–09:00 Estimation of Water Vapor Variation Around Each GPS/GNSS Station Using Slant Path Delay for Monitoring of Cumulus Convection
Yoshinori Shoji (MRI, JMA)
09:00–09:30 GPS meteorology study using BIG C-GPS station
Susilo Surimun (BIG)
09:30–10:00 PWV Monitoring Over East Java Region Using Continuous GPS
Fikri Bamahry (Surabaya Institute of Technology)
 
10:00–10:20 Coffee Break
 
   Session (2) Chair: Hiromu Seko
10:20–10:50 Variations of precipitable water vapor (PWV) observed with multiple GPS receivers in Indonesia
Eugenio Realini and Toshitaka Tsuda (RISH, Kyoto University)
10:50–11:20 Monsoon in the Maritime Continent and the relative importance of low level moisture transport
Tri Wahyu Hadi (ITB)
11:20–11:40 Current Status of Asia Oceania Multi-GNSS Demonstration Campaign
Kazutoshi Sato (JAXA)
11:40–12:00 Application of the real time TEC and Scintillation to study the dynamics of the Ionosphere
Effendy Achmad (LAPAN)
 
12:00–13:30 Lunch
 
   Session (3) Chair: Yoshinori Shoji
13:30–14:00 An observational study on the time and spatial variations of precipitable water vapor with a dense GNSS receiver network
Eugenio Realini and Toshitaka Tsuda (RISH, Kyoto University)
14:00–14:30 Data assimilation experiment of high resolution GNSS data using a two–way nested LETKF system
Masanori Oigawa (RISH, Kyoto University)
14:30–15:00 Data assimilation experiments of GPS water vapor data
Hiromu Seko (MRI, JMA)
15:00–15:30 Impact of Radar Data Assimilation on Very Heavy Rainfall Prediction associated with Cloud Systems Over Jakarta Area
Indra Gustari (BMKG)
 
15:30–16:00 Coffee Break
 
   Session (4) Chair: Toshitaka Tsuda
16:00–16:30 Diurnal Variation over Bandung Observed by Transportable X-band Radar
Noersomadi (LAPAN)
16:30–16:50 Analysis of meso-scale convection in tropical regions using Ground-Based GPS Observation in Bandung
Takafumi Matsuda (RISH, Kyoto University)
16:50–17:10 Studies of Wind Gust over Mahakam Block, East Kalimantan
Nurjanna Joko Trilaksono (ITB)
 
17:10–18:00 Discussions

 

Abbreviations

MRI Meteorological Research Institute
JMA Japan Meteorological Agency
BIG Agency of Geospatial Information
RISH Research Institute for Sustainable Humanosphere
ITB Bandung Institute of Technology
JAXA Japan Aerospace eXploration Agency
LAPAN National Institute of Aeronautic and Space
BMKG Agency of Meteorology, Climatology, and Geophysics

 

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