Research Institute for Sustainable Humanosphere

第258回定例オープンセミナー
木材細胞壁成分同士はどのように接着されているのか?
—リグニン-多糖複合体の構造解析の試み—

開催日時 2020(令和2)年9月23日(水) 12:30–13:20
開催場所 総合研究実験1号棟5階 HW525・オンライン(Zoom)
発表者 安藤大将(京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム

聴講希望の方は、ご所属、お名前、連絡先等記してメールにてお問い合わせください。
オープンセミナー事務局: rish-center_events@rish.kyoto-u.ac.jp
開催日当日午前10時までにご連絡ください。

要旨

化石燃料への過度な依存が地球環境面に深刻な影響を及ぼしており、国連では持続可能な開発目標であるSDGsが採択され、持続可能な社会の構築は直近の世界の課題となっている。そのため、近年、非可食性バイオマスの有効利用が着目され、研究が盛んである。なかでも、木質バイオマスは地球上最大の物質量を誇るため、未使用バイオマスをいかに利用していくかが今後の課題である。多量の物質量を誇っている木質バイオマスは主に細胞壁成分からなり、その主成分として多糖類であるセルロース、ヘミセルロースと芳香族(生体)高分子であるリグニンが挙げられる。植物細胞壁はよく鉄筋コンクリートに例えられ、セルロースは鉄筋、ヘミセルロースおよびリグニンはコンクリートのように説明される。セルロースは繊維という形態をとり、ヘミセルロースとリグニンがそれらの間隙を充填するように存在しており、バイオマスは3種類の高分子のコンポジットであるといえる。その複雑さゆえに未だ各成分を完全に分離することはできてない。このとき、“細胞壁成分はどのように接着されているか?” という疑問が浮かぶ。分子同士の絡み合い、物理的結合など様々な要因が考えられているが、その一つの要因に細胞壁構成成分間の共有結合の存在が挙げられる。これらはリグニン多糖複合体(Lignin-Carbohydrate Complex)中に存在するLC結合と呼ばれている。このLC結合は木材中での存在量が少ないにも関わらず、木材の物性や化学反応性に大きな影響を与えると考えられているため、以前から様々な研究が行われてきた。しかしながら、まだまだ未知の領域であり、これらの知見は木材の性質の解明やバイオマスの利用において重要であり、化学構造に立脚した分離および利用戦略などへと展開される余地がまだまだあると考えられる。

発表者らはリグニン分解およびNMR分析を組み合わせた新規なアプローチで、LC結合の構造解析を行ってきた(図1)。本アプローチでは、リグニンに着目し、リグニンがどのような多糖類と結合しているかに焦点をあてた。そこで、副反応の進行を抑えたリグニン分解法の開発および得られた分解物のNMRを用いた構造解析で得られたLC結合の構造解析研究を紹介する。

Seminar-0258_Ando図1 LC結合構造解析のための単離アプローチ

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2020年9月8日作成

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