Research Institute for Sustainable Humanosphere

第252回定例オープンセミナー
ビタミンB12を利用する光センサータンパク質とその光遺伝学への応用

開催日時 2019(令和元)年12月18日(水) 12:30–13:20
開催場所 総合研究実験1号棟5階 HW525
発表者 髙野英晃(日本大学生物資源科学部・准教授)
関連ミッション ミッション5 高品位生存圏

要旨

非光合成細菌の光応答現象としてカロテノイド色素合成の光誘導が古くから知られていたが、最近になって分子メカニズムの詳細が明らかにされ、ビタミンB12をクロモフォアに利用する新しいタイプの光センサー型転写調節タンパク質LitR/CarHファミリーが発見された。

1. LitR/CarHの機能 LitRタンパク質の基本機能は遺伝子発現を抑制するリプレッサーであり、また補酵素として知られるコエンザイムB12(アデノシルB12; AdoB12)と複合体を形成する。暗条件においてはカロテノイド合成遺伝子プロモーターに結合して転写開始を抑制する(図)。その一方で光を受容した場合にはアデノシルB12が光酸化によってヒドロキシB12に変化することでそのDNA結合活性が低下する(図)。2015年には好熱性細菌由来のLitR/CarH-B12複合体の光依存的なタンパク質構造変化がみごとに解明され、新しい光センサーとしての仲間入りを果たした。B12の“ビタミンを超えた機能”が発見されたことでも注目されている。

2. オプトジェネティクスへの応用 オプトジェネティックスは遺伝子スイッチの誘導にインデューサー化合物を必要としない非侵襲性であり、遺伝子オンオフを迅速かつ可逆的に制御でき、脳科学研究をはじめとして生命活動の新しい制御法として注目されている。本分野は2005年に高度好塩菌に由来する光駆動型ロドプシンを用いて神経細胞の光活性化に成功したことに端を発し、現在ではさまざまな応用例が報告されている。最近, LitR/CarHの応用がゼブラフィッシュ、ヒト細胞、モデル植物シロイヌナズナにおいて報告され、これまでに困難であった緑色光による制御が可能になった。また、LitR/CarHの多量体形成が光照射によって抑制されることを利用した光応答性ヒドロゲル(成型可能な高分子材料)の開発も報告され、細胞組織培養などへの応用が見込まれている。光センサータンパク質研究はきわめて基礎的なイメージが強いが、オプトジェネティクスの登場により応用利用への可能性が大きく広がりつつある。

Seminar-0252_Takano

印刷用PDFファイル(260 648 バイト) | ページ先頭へもどる
2019年12月2日作成

一つ前のページへもどる