Research Institute for Sustainable Humanosphere

第233回定例オープンセミナー
放射線や非凝縮性高密度流体を用いた繊維状材料の機能化

開催日時 2018(平成30)年6月27日(水) 12:30–13:20
開催場所 総合研究実験1号棟5階 HW525
題目 放射線や非凝縮性高密度流体を用いた繊維状材料の機能化
Functionalization of fiber materials using radiation and supercritical fluid
発表者 奥林里子(京都大学生存圏研究所・特定教授)
関連ミッション ミッション4 循環材料・環境共生システム

要旨

繊維は強さとしなやかさを併せ持つ材料で、織り方、編み方、組み方により様々な立体構造体へと変化します。構造体は多くの空気を含み軽くて柔軟に形を変えることができるため、衝撃吸収材や断熱材としても利用されています。構造体内の空気をプラスチックに置き換えれば、鋼鉄よりも軽くて強い複合材料を作り出すこともできます。このように、繊維は様々な製品の基材として使われていますが、近年ではより高強度すなわち高結晶化し、通常の水や熱を使う加工では機能化が困難になっています。そこで、我々は熱よりも大きなエネルギーを持つ放射線と、水よりも反応を促進する非凝縮性高密度流体の超臨界二酸化炭素を用いた繊維状材料の機能化について長年取り組んできました。電圧をかけて加速した電子の束を高分子材料に当てると、原子中に存在する電子の非弾性衝突により分子はイオン化・励起し反応活性種が生成します。この反応活性種を利用して高分子どうしを橋掛けして耐熱性や強度を上げたり、活性種に化学物質を反応させることで汎用の高分子素材に特殊な機能を付与したりすることができます。この技法では、大きなエネルギーを持った小さな荷電粒子が瞬時に高分子内部に浸透・作用するため、低温での加工や、溶媒・触媒を使用しないゼロエミッションプロセスの構築が可能です。一方、臨界温度・臨界圧力を超えた状態の物質は、低粘性で高拡散性であるため、液体より物質を早く運ぶことができます。さらに溶媒和の効果によって高分子が可塑化されて大きな反応速度が得られるため、短時間でより多くの物質を高分子内部から抽出、あるいは高分子内部に注入することができます。とりわけ臨界条件が比較的温和な超臨界二酸化炭素は、水や多くの有機溶媒に代わる環境負荷の低い媒体として期待されています。

この講演では、電子線と超臨界二酸化炭素の特徴を解説し、二つの技術を用いて開発した機能性繊維状材料を紹介します。

S0233_Okubayashi JPEG図1 左)放射線が高分子に及ぼす影響,右)電子線グラフトによる機能化の例

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2018年4月23日作成,2018年5月21日更新

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