Research Institute for Sustainable Humanosphere

第216回定例オープンセミナー
B型肝炎ウイルス複製を抑制する新規阻害剤のスクリーニング

開催日時 2017(平成29)年1月25日(水) 12:30–13:20
開催場所 総合研究実験1号棟5階 HW525
題目 B型肝炎ウイルス複製を抑制する新規阻害剤のスクリーニング
Screening for novel inhibitors of Hepatitis B viral replication
発表者 塚本雄太(京都大学ウイルス・再生医科学研究所ウイルス感染研究部門分子遺伝学分野・研究員)
関連ミッション ミッション5 高品位生存圏

要旨

B型肝炎は国際的なウイルス性肝炎であり、慢性肝炎になると肝硬変、肝がんに進行する。B型慢性肝炎の患者は世界中で2.4億人にものぼり、毎年約70万人もの人々がB型肝炎ウイルス関連疾患で死亡している(WHOの推計による)。B型慢性肝炎患者に対する治療法はインターフェロン治療と核酸アナログ治療に限られている。インターフェロン治療は、半数以上のB型慢性肝炎患者に対しては効果が見られず、また、有効であっても副作用が多いというデメリットがある。核酸アナログ治療は、長期間服用し続ける必要があり、その間にB型肝炎ウイルスが薬剤体制を獲得してしまうことがある。このように、B型慢性肝炎患者の治療法は未だ十分とは言えず、新たな抗ウイルス薬の開発が待たれている。

B型肝炎ウイルスが細胞に感染して複製する機構は、大きく分けて、①ウイルス粒子の侵入、②ヌクレオキャプシドの核内移行、③cccDNA (covalently closed circular DNA)と呼ばれる環状DNAの形成、④cccDNAからのmRNA転写、⑤mRNAからのウイルスタンパク質翻訳、⑥プレゲノムRNAとウイルスポリメラーゼのキャプシド化、⑦プレゲノムRNAの逆転写、⑧rcDNA (relaxed circular DNA)と呼ばれる不完全環状DNAの形成、⑨エンベロープ獲得・新生ウイルス分泌、といった過程に分類される(図参照)。B型肝炎ウイルスは2本鎖DNAウイルスであり、プレゲノムRNAの逆転写反応は複製に必須である。核酸アナログ治療法は、ウイルス複製における逆転写反応を疎外することで、ウイルスの複製を抑える治療法である。

本研究では、核酸アナログの阻害標的である逆転写反応とは別の複製過程を標的として新規複製阻害剤を探索することで、新たな慢性B型肝炎治療法の確立を目指すものである。我々は、新規ウイルス複製阻害剤を得るために、逆転写反応およびキャプシド化の前段階として必須の過程である「プレゲノムRNAとウイルスポリメラーゼの結合」という現象に着目した(図参照)。本セミナーでは、この過程を阻害する薬剤を得るためのスクリーニング系の確立、およびそのスクリーニングによって得られた薬剤の抗ウイルス薬効果について報告したい。

S0216_Tsukamoto

印刷用PDFファイル( バイト) | ページ先頭へもどる
2017年1月17日作成

一つ前のページへもどる