Research Institute for Sustainable Humanosphere

第201回定例オープンセミナー
ヒルガオ科植物と共生する真菌バッカクキン間の麦角アルカロイド輸送経路の解明

開催日時 2015(平成27)年11月18日
題目 ヒルガオ科植物と共生する真菌バッカクキン間の麦角アルカロイド輸送経路の解明
Transport pathway of ergot alkaloids between Convolvulaceae plants and Clavicipitaceae symbiotic fungi
発表者 稲葉尚子(京都大学生存圏研究所・特定研究員)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

麦角アルカロイドは高い生理活性をもつ真菌毒である。バッカクキン科の子嚢菌いわゆる麦角菌により産出され、麦角菌が感染する植物に蓄積される。麦角とは、麦角菌に感染した穀物が穀粒の代わりに形成する黒い角状の菌核の呼び名である。中世ヨーロッパでは、麦角菌に汚染されたライ麦や小麦のパンを食べて麦角アルカロイドを摂取したことが原因で手足の壊死を起こす麦角中毒が蔓延し、ペストやコレラ同様に恐れられた。

近年、麦角菌のゲノム解析からアルカロイド生合成経路が明らかになり、菌の種類により生合成経路が異なり、菌ごとに産出するアルカロイドが明らかになった。麦角アルカロイドはかつて毒として恐れられたが、現在は子宮収縮剤、偏頭痛薬、パーキンソン病などの中枢神経系疾患の作用薬など、薬理目的で利用されており、その生合成経路や麦角菌の生態の研究が注目を集めている。

最近になって、ヒルガオ科植物とエピファイトとして共生する新種の麦角菌Periglandula属の真菌が発見され、麦角アルカロイドを生合成することが明らかになった。植物体内ではなく葉の表面に付随するこの菌の発見により、麦角アルカロイドが真菌側には貯蔵されず、植物組織に蓄積されることが明らかになった。Periglandula属のアルカロイド生合成経路は明らかになっているが、真菌から植物へ、異なる生物間でどのようにアルカロイドが輸送され蓄積されているのかは明らかになっていない。発表者は現在この輸送経路の解明を目的に研究を行っており、本セミナーでは麦角アルカロイドについての先行研究と本研究の進捗状況についてお話しする。

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2015年11月10日作成

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