Research Institute for Sustainable Humanosphere

第168回定例オープンセミナー資料

開催日時 2013/09/11(水)
題目 熱帯対流圏界層における脱水過程と大気輸送過程の観測的評価
Dehydration and air-mass transport processes in the tropical tropopause layer
発表者 稲飯洋一 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)

要旨

0. はじめに

我々が生活している地表付近は対流圏と呼ばれる大気領域である。対流圏は地表面に接しており水蒸気や温室効果気体が海や人間活動により空気中に供給されて いる。これらの空気塊は、赤道域上空高度 14 km から 18 km 付近に存在する熱帯対流圏界層(Tropical Tropopause Layer (TTL))と呼ばれる対流圏-成層圏遷移層を通過して、対流圏の上空に存在する成層圏へと輸送されている。

この輸送により、対流圏同様に成層圏においても温室効果気体や水蒸気(水蒸気についてはまた別の過程が関与している。詳細は発表で。)の増加が生じてい る。成層圏におけるこれらの物質の増加は、いわゆる地球温暖化を加速させる一方で、極成層圏雲と呼ばれる雲の発生頻度を高める事で、フロンガス排出規制に より近年拡大が停止していたオゾンホールの再拡大に繋がると考えられている。

これらの地球規模の問題を理解し解決するために TTL や成層圏における物質輸送過程を明らかにする事が求められている。

 

発表ではまず自己紹介も兼ねてこれまでに行ってきた観測や研究について紹介する。

1. 熱帯対流圏界層における大気脱水過程

ゴム気球を用いて赤道域上空の水蒸気・オゾン濃度を測定し、成層圏の水蒸気濃度をコントロールしていると考えられている「熱帯対流圏界層内の大気脱水過程」の定量化を試みる研究を行ってきた。その成果について紹介する。

2. 熱帯と南極域上空の大気微量成分の観測

大型のプラスチック気球を用いて赤道/南極上空の成層圏大気を採集する実験を実施し、成層圏における温室効果気体などの大気微量成分濃度を調査した。これらの観測や得られた結果について紹介する。

次に生存圏研究所において進めている研究について紹介する。

3. 対流圏-成層圏間の大気輸送過程の解明

上記のように気球観測から得られた赤道成層圏における温室効果濃度データに加え、航空機によるアジア・西太平洋域の上部対流圏の温室効果気体観測データを用いて、対流圏から成層圏への大気輸送過程を定量化する研究を進めている。現在までに得られた結果を紹介する。

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