Research Institute for Sustainable Humanosphere

第144回定例オープンセミナー資料

開催日時 2011/12/21(水)
題目 森林浴の生理的効果
Physiological effects of “Shinrin-yoku”
発表者 恒次祐子 ((独)森林総合研究所構造利用研究領域・主任研究員)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

厚生労働省が 20 万世帯以上を対象として行った調査によると1),日常生活で悩みやストレスが「ある」という答えは全体の 46.5 % であり,年齢層によってはストレスが「ある」が 60 % を超えていた。世界 23 ヵ国における健康意識調査2) では,日本は自分を健康であると感じている人の割合が 2 番目に低いという結果とともに,日本人が健康に影響する要因としてストレスを最も重要視しているという結果も示されている。

このような背景と折からの「癒しブーム」の影響もあってか,森林浴の効果に期待が集まっている。「森林浴」は 1982 年に林野庁が「森林浴構想」として全国の景観の良い国有林を森林レクリエーションのために開放するという試みを立ち上げた際に作った造語である。約 30 年が経過した現在では森林浴という言葉は広く普及し,多くの人が森林は健康作りやストレス解消に役立つというイメージを持つようになった。そして特に近年 はその効果を科学的な手法で明らかにしてほしいという機運が高まっている。

本セミナーにおいては我々が現在行なっている「森林浴の生理的効果実証実験」についてその方法とこれまでに得られている結果を紹介したい。この実験は森林 セラピー基地・セラピーロードの認定事業(森林セラピー総合プロジェクト)の一環として行なわれているもので,今年度までの 7 年間で全国 48 ヶ所の森林における被験者実験を行ってきている。

これまでに森林で 15 分程度景色を眺めたり,歩行をしたりすることにより,都市で同様の活動をした際と比較して血圧や脈拍数が低下し,代表的なストレスホルモンである唾液中コ ルチゾールの濃度が低下することなどが明らかになった。また心拍変動性解析により森林では都市に比較して交感神経系活動が低く,副交感神経系活動は高いこ とも示された。森林浴の持つリラックス効果に関するデータが蓄積されてきている。

*1: 厚生労働省大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室.平成22年 国民生活基礎調査.2011
*2: International Research Institutes. Health Perceptions around the Globe, a 23-country study. Adligenswil: Iris, 2004.
※認定事業にご興味のある方は森林セラピー総合サイト http://www.fo-society.jp/ をご参照ください。

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