Research Institute for Sustainable Humanosphere

第136回定例オープンセミナー資料

開催日時 2011/09/28(水)
題目 快適な室内空間と木材
Comfort of indoor space and characteristics of wood
発表者 木村彰孝 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

内装に木材を用いた部屋では、木材の見た目や香りなどといった特徴により人は「自然さ」「落ち着き」「あたたかさ」「快適さ」を感じると言われており、木 質空間の印象を評価した研究においても、心理面ではこれらの作用が確認されている。しかし、心理面による評価では、①自分の状態を言葉で解釈し直す必要が ある、②言葉のもつ意味や尺度が人によって異なるなど、人の状態を客観的な数値により評価するには限界がある。

そこで、私は人の心理面に加え、生理面、特に脈拍・血圧・心拍変動・唾液アミラーゼ活性といった自律神経系の指標を同時に測定することで、木材および木質空間の快適さや健康の維持・増進作用を数値により科学的に明らかにすべく、研究を進めてきた。

一連の研究のうち、ヒバ材を内装に用いた室内空間の人の心理・生理面への作用を検討した結果1) をみると、「自然な」「伝統的な」印象を与えたヒバ材を内装に用いた空間では、ヒバ材由来の見た目と香りの刺激により副交感神経活動が亢進し、身体は鎮静状態となること、内装へのヒバ材使用量の違いによりその程度は異なる可能性が示唆された(図 1、2)。

今後は、新規機能性木質内装材の開発として、スギ材の空気(NO2、O3、CO2 など)浄化機能の解明と実空間への利用による人への作用の解明を行うとともに、木材・木質空間の感性的な特徴を材料開発に繋げていくためのツールとして、 人の心理・生理応答と知的生産性-木質材料の物理的・感性的特徴-内装デザイン・木材使用量を結びつけるための評価システムの開発を目指し、研究を進めて いきたいと考えている。

【文献】1)木村彰孝、杉山浩之、佐々木靖、谷田貝光克:木材学会誌、Vol. 57、No. 3、pp160–168(2011)

S0136_Kimura1
図 1 供試空間

S0136_Kimura2
図2 各部屋における刺激提示前後の収縮期血圧の経時変化
n=14、**:p<0.01、*:P<0.05 (対応のある t 検定:刺激提示前 10 秒間の平均値と刺激提示後の測定値の間での比較)

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