Research Institute for Sustainable Humanosphere

第118回定例オープンセミナー資料

開催日時 2010/07/28(水)
題目 木材における液体流動の経路を開こう —壁孔の破壊を中心に
Explorations of opening the liquid movement path of wood —Focusing on pit rupture
発表者 王悦 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)

要旨

健康な樹木では,水分の経路となるのは,主に道管(広葉樹)や仮道管(針葉樹)である。さらに,道管や仮道管の放射壁に存在する壁孔は,道管間や仮道管間の通路にあたる。その壁孔には,トールスという特殊な構造があって,それがニュートラルの位置にあれば水分が隣り合った道管間や仮道管間を容易に移動する(トールスは針葉樹にあるが広葉樹にはない)。

しかし,樹木の心材形成(特に針葉樹)や木材乾燥において,トールスが一方の壁孔縁に移動し,壁孔の孔口を閉じる。いわゆる閉塞壁孔(図)になる。このような現象が発生すると,木材の各処理には,障害を引き起こす。例えば,木材を製材乾燥する場合,水分が木材中より外部に移動しにくくなるために,極度の水分傾斜を引き起こして割れ、そり、狂いなどの障害を発生するほか、乾燥時間が掛かる。また,逆に,木材を防腐処理する場合,壁孔が閉塞しているために,薬液が木材中へ十分入りにくく十分な性能を保持した木材の製造ができなくなる。そのため、研究者たちは,液体の移動の経路を再び開けるために,細胞壁の破壊なしに閉塞した壁孔の有効通路を拡大する剥離、破壊法を考案した。

S0118_Wang

本研究では,今までにも検討が試みられた横圧縮変形法という破壊法を用いて,未だ十分に明らかにされていない横圧縮前処理による壁孔の形態変化を走査電子顕微鏡で観察し、壁孔の破壊の特徴、力による破壊の発生率、樹種による特徴(抽出物の堆積膜の性質など)などを解明し,樹種グループによる適切な浸透改善法を明確にすることを目的とした。

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