Research Institute for Sustainable Humanosphere

第106回定例オープンセミナー資料

開催日時 2009/11/25(水)
題目 長期間継続する太陽活動度極小期における中低緯度電離圏擾乱
Midlatitude ionospheric disturbances during the long-lasting low solar activity period
発表者 齊藤昭則 (京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻・助教)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)

要旨

太陽活動度の中低緯度電離圏に与える影響を議論する。特に、太陽活動度極小期に顕著な現象に注目する。現在進行している太陽活動度極小期は、少なくとも電離圏観測が本格化した 1957 年の IGY 以降で最長のものである。2009 年 10 月時点で、移動平均した月間値の Sun Spot Number (SSN) が 10 以下となる期間が 2 年 7 ヶ月間継続しているが、これは前回の太陽活動度極小期である 1996 年 7 月付近の 9 ヶ月間や 4 つ前の 1964 年 9 月付近の 2 ヶ月間よりもはるかに長い。前々回の 1986 年 5 月付近、前々々回の 1976 年 5 月付近の極小期には移動平均した月間値 SSN が 10 より低くなることはなかった。

電離圏への太陽活動度の影響としては、電子密度の変動が挙げられる。太陽放射の変動と熱圏大気の温度変化により、電離圏電子密度は太陽活動度に正の相関を示す。地球規模の大規模な変動だけではなく、数 100 km の空間スケール(メソ・スケール)を持つ現象も太陽活動度に正の相関を示す。赤道域夜間に生じるプラズマ・バブルは経度域による違いはあるが、低太陽活動度期には出現頻度が大きく低下する。地磁気嵐も低太陽活動度期には発生頻度は低く、2007 年以降 Dst が −100 nT より小さくなる強い地磁気嵐は生じていない。このため地磁気嵐に起因する電離圏嵐や、メソ・スケールの現象も低太陽活動度期には出現が少ない。その一方で、中緯度域で観測される中規模伝搬性電離圏擾乱は低太陽活動期に活発になる特徴を持つ。

これらの中低緯度電離圏におけるメソ・スケール現象の太陽活動度依存性の物理過程は充分解明されていないが、中規模伝搬性電離圏擾乱の太陽活動度への逆相関は、中性大気と電離大気の衝突が少ない低太陽活動期には不安定性の成長率が大きくなるためと考えている。

印刷用 PDF ファイル (179 753 バイト)

一つ前のページへもどる