Research Institute for Sustainable Humanosphere

第56回定例オープンセミナー資料

開催日時 2007/07/11(水)
題目 熱プロセスにおけるバイオマスおよびセラミックス材料の物性評価の研究
—マイクロ波加熱・照射効果の展望—
発表者 園部太郎 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)

要旨

バイオマス・石炭の熱転換法としては、燃焼、ガス化、熱分解、液化等があり、なかでも熱分解は全ての熱化学変換法の第 1 ステップに起きる過程であり、フェノール、有機酸、CO、H2 などの有用化学物質の回収および、チャコール、活性炭等を製造するうえでコントロールすべき重要な反応過程である。本研究では、バイオマス・低品質炭の高 効率エネルギー転換プロセス開発にむけて、その熱分解基礎特性を理解するために、熱分解反応機構の解明(ミクロ)および熱分解生成挙動(マクロ)の双方向 から調査・検討をした。

一方で、機能性セラミックス材料において、YBa2Cu3Oy に代表される銅酸化物のうち、PrBa2Cu3Oy のみが超伝導性を示さない特異な化合物となっている。本研究において PrBa2Cu3Oy の Ba を電価は同じであるがイオン半径の小さい Sr で置換すると、結晶構造の相変化が生じ、それに伝導特性が相関することを初めて観測した。この相関のメカニズムを明らかにするために、Sr 添加効果は PrBa2Cu3Oy の酸素の含有量 y や配列を変化させるという機構を考え、その検証を行った。その結果、熱処理条件の違いにより、試料の特性に相反する Sr 添加効果があることが明らかになった。酸素分圧が有限下で熱処理した試料では、結晶構造が斜方晶から正方晶へ相転移する。さらに、相変化に伴い比抵抗値が 急激に増加するという結果が得られた。一方、酸素分圧がほぼゼロとみなしうる Ar ガス雰囲気下で熱処理した試料は、相転移はしないが、Sr 添加に伴い、比抵抗値が減少するという結果が得られた。これまでに PrBa2Cu3Oy の相変化や伝導特性は、試料の酸素含有量 y や配列に強く支配されることがよく知られている。このことから、本研究の結果は、Sr 添加が PrBa2Cu3Oy の酸素の含有量 y や配列に変化をもたらすことを示していると考えられた。

本発表では、筆者がこれまで行った研究活動に基づいて、熱分解(熱プロセス)は低品位バイオマス・石炭から高付加価値の材料や資源を生成するために、コン トロールすべき重要なプロセスであるということを提起する。また、機能性セラミックス材料の合成および開発においても、熱処理(熱プロセス)条件が材料の 機能性発現を左右することを紹介する。最後に、今後の研究活動の展望として、材料転換のための熱プロセスとして、マイクロ波加熱・照射効果の可能性につい て紹介する。余談として、タイ留学での経験談についても紹介する。

キーワード: バイオマス、セラミックス、熱プロセス、アジア留学(タイ)

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