Research Institute for Sustainable Humanosphere

第31回(2006年度第5回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2006/06/21(水)
題目 赤道大気レーダー (EAR) を用いた層状降水域内での上昇流の解析
発表者 西憲敬 (京都大学理学研究科)
共同研究者 山本真之(京都大学生存圏研究所)

要旨

インドネシア、スマトラ島 Kototabang (100.32E, 0.20S, 865 m) に設置された赤道大気レーダー (EAR) を用いて、主に対流圏上部の鉛直流を解析してきた。熱帯域の降水の大きな部分をもたらすメソスケール雲クラスター(およそ 100 km スケール)内部の鉛直流分布の解析結果と、EAR データにみられた半月以上にわたる上昇流傾向の継続およびその東風との相関について述べる。

1) メソスケール雲クラスター内部、層状降水域後半における穏やかな上昇流

クラスターのうち大きな面積を占めるのは、乱層雲が主体となる層状雲からの降水がある領域(層状降水域)である。この領域では、平均的に 10–20 cm/s の上昇流があることが、過去からの観測で知られてきたが、その内部での鉛直流分布はよく知られてはいなかった。2003 年 11 月に行なわれた鉛直流強化モード観測により、よい精度で内部構造を解析することができた。層状降水域の後半において、変動が小さく継続的な上昇流域を 3 例検出した。その中では 0–40 cm/s の上昇流がほとんどの時間を占めていた。

2) 上昇流傾向の継続と、東風との相関

同月の 13 日以降において、特に積雲活動がなくても上昇流が継続していることが上部対流圏で見いだされた。大規模気象現象などにはこれをもたらす要因はなく、また EAR 設定の諸問題もないように思われた。約 3 年のデータを標準観測モードデータで調べたところ、上昇流が強い時に東ないし南東風が強いという相関が見いだされた。この相関は上部対流圏で強いものの、 中下部でも認められる。現時点ではこの相関を説明するメカニズムは不明である。

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