Research Institute for Sustainable Humanosphere

第27回(2006年度第1回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2006/05/17(水)
題目 マイクロ波・微生物複合系を利用した木質バイオマスからの機能性ポリマーの発酵生産
発表者 佐々木千鶴 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)
ミッション 4 (循環型資源・材料開発)
共同研究者 渡辺隆司 (京都大学生生存圏研究所バイオマス変換分野・教授)

要旨

現代は、化石資源の大量消費による資源枯渇や地球温暖化、容易に分解されない合成化学品による環境汚染など、多くの環境問題を抱えており、これらの問題を解決するような研究が望まれる。そこで、持続可能な循環型社会を構築するために、国内に数千万トンと多量に発生している未利用バイオマス、すなわち、木片の切れ端材、間伐材、樹皮などの林産廃棄物、藁、バガスなどの農産廃棄物などを有効利用し、エタノールやメタンガスを生産している研究は比較的多く行われている。生存圏研究所においても木材からのエタノール生産プロセスが研究されている。このプロセスは、エタノール発酵のみでなく、様々な有用ケミカルスの生産に適用できると考えられる。本研究では、木質バイオマスから機能性ポリマーを発酵生産することを目的としている。リグニンのネットワークに覆われ木材中のセルロースを効率良く糖化するために、木質バイオマスにマイクロ波照射した後、セルラーゼにより糖化処理を行う。透過性の高いマイクロ波照射処理により、熱伝導の良くない木材などのバイオマスを微粉砕処理することなく、電磁波のエネルギーによって内部から迅速加熱する。これにより、リグノセルロースを酵素と反応しやすい状態に変化させる。

機能性ポリマーとして、ε-ポリリジン (ε-PL) の発酵生産をめざす。ε-PL は、土壌中の放線菌の一種である Streptomyces albulus の培養液により発見された天然のポリアミノ酸である。生分解性であり、高い安全性と優れた抗菌活性を有し、食品添加物・保存料として幅広い食品の日持ち向上に利用されている。これらのことから、注目の集まっているバイオポリマーであり、機能性材料として期待されている。

本研究では、木質バイオマスから ε-PL を発酵・生産し、それらの構造・機能解析を行い、生産した ε-PL はバイオマスの微生物処理への応用研究にも用いる。さらには、機能化という観点から、ε-PL 自体を改変することなく、化学修飾することにより機能を付加することをめざす。

本発表では、効率的にリグノセルロースを糖化するために木質バイオマスにマイクロ波照射処理を施した実験結果及び目的とする機能性ポリマーである ε-PL の基礎物性、分光特性などについて報告する。

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