Research Institute for Sustainable Humanosphere

第22回(2005年度第14回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2006/01/18(水)
題目 熱帯域における森林・大気相互作用に関する研究
発表者 古本淳一 (京都大学生生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 1 (環境計測・地球再生)
共同研究者 塩谷雅人 (京都大学生存圏研究所・教授)

中村卓司 (京都大学生存圏研究所・助教授)

要旨

本研究では、熱帯域における森林と大気の相互作用を衛星データや地上リモートセンシング装置を用いて調べることを目的としている。特に水温の高い海域に囲まれた多雨領域であるインドネシア周辺に着目し本領域の森林内部での気象観測の実現、大気変動による森林植生の変動を調べ、また森林大気間の物質、エネルギー輸送観測のための新観測技術の応用を行っている。具体的な内容は以下の通りである。

  1. インドネシア・スマトラ島のアカシア・マンギウム植林地は、樹種、植生が水平一様とみなせることから地表と大気の相互作用を調べるのに理想的なフィールドである。本林地での大気観測の実現に向けて、まずアカシア・マンギウム植林地内 6 地点に自動地上気象観測装置を設置し、地上観測要素の取得を開始した。本観測は現在も観測が継続中であり、現地スタッフにより定期的にデータ吸い上げと日本へのデータ転送が行われている。
  2. インドネシア域において降雨が植生に及ぼす影響を調べるため、衛星データを用いた植生データ(正規化植生指数、NDVI)と降雨量のデータと比較解析した。データとしては長期間の解析が可能となるよう、降水量としては GPCP (全球降水気候計画: Global Precipitation Climetlogy Project)により公開されているデータを用い、また NDVI としては NOAA-AVHRR により観測されたデータセットを用いた。インドネシア域の降水量には年周変化が見られるが、一方 NDVI の年周変化は大きくなく、年周変化を取り除いた年々変動に両者は良い対応が見られた。特に、エルニーニョ現象に伴う少雨領域とNDVIの空間分布は 3 か月程度の遅れでよく対応していた。
  3. 森林大気間の水蒸気の上下輸送観測することを目的として、信楽 MU 観測所の小型ラマンライダーを可動化させる開発を推進した。MU 観測所においてラマンライダーを水平に設置し、試験観測を行った結果水蒸気比湿には比湿の 10 % 程度の大きさの振幅の変動が見られた。今後この変動を考慮することによって大気と森林間のエネルギー収支の精度向上が期待できる。

一つ前のページへもどる