Research Institute for Sustainable Humanosphere

第13回(2005年度第5回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2005/09/21(水)
題目 新規メソポーラス・マンガン酸化物の合成と応用
発表者 古屋仲秀樹
関連ミッション ミッション 4 (循環型資源・材料開発)

要旨

研究の背景

多孔質材料(ポーラス材料)とは内部に大小さまざまな孔をもつ固体の総称であって、その構造や表面の性質を利用して断熱材、緩衝材、吸音材、あるいは本研究で扱う吸着材や触媒担体として多方面に利用されている。この多孔質材料は、平均細孔直径の大きさに応じてマイクロポーラス(2 nm 以下)、メソポーラス(2–50 nm)、マクロポーラス(50 nm 以上)と分類される。非結晶性のメソポーラス材料としては、一部の活性炭やシリカゲルなどがよく知られているが、結晶性で細孔径が均一なメソポーラス材料としては、モービルと早大 & 豊田中研らが 1992 年に発表した Si 原料を使用したものが初めての報告例であった。それらはいずれも界面活性剤の分子集合体を鋳型にしてメソポア構造を造りだしている。このような平均細孔直径がある程度均一なメソポーラス材料には、ゼオライトに代表されるマイクロポーラスの細孔では小さすぎて入ることが困難であった、分子径の大きな化合物が絡む触媒反応や吸着反応、あるいはナノ機能性材料のホスト物質としての利用が期待されている。平均細孔直径が均一なメソポーラス材料は、実際に合成が成功してからまだ間がないため、現時点で実用例は無いが、触媒反応や吸着反応、あるいはナノ材料の物性を研究する上で格好のモデル物質であるため、近年、合成や物性とその応用に関する研究論文が急増している。

参考文献: 多孔質体の性質とその応用技術, フジ・テクノシステム (1993)

メソポーラス・マンガン酸化物の合成

マンガン酸化物に関するメソポーラス材料の合成例は、現在でも数件しか存在しない。例えば、Science, vol. 276 (1997) においては平均細孔直径が 2 nm 程度とマイクロポーラスとの境界線上にある材料が報告されているが、実用的には、より大きな平均細孔直径を有するメソポーラス材料が望まれている。遷移元素であるマンガンの酸化物は、アルミの酸化物に比べて貴であり、シリカ酸化物や炭素材料など安定な物質に比べて電気化学的に活性であるため種々の特有な性質を示し、かつ結晶構造学的にも未知の要素を数多く残している。本研究では、マンガン酸化物のナノ粒子を凝集させることで、平均細孔直径が 10 nm 程度(比表面積 120 m2/g 程度) のメソポーラス・マンガン酸化物を独自に合成し、その物性と特性を調べている。

メソポーラス・マンガン酸化物の応用

本研究で合成したメソポーラス・マンガン酸化物を化学処理することで、固体酸としての性質が付加できることを見いだし、選択的な吸着性や触媒担体としての応用研究、さらには貴金属の新しい溶解方法の開発につながる反応系の研究などが生みだされつつある。今回のセミナーでは、水中のヒ素に対する吸着材としての応用例を中心に、いくつか応用例を紹介し、実用化を目指す上で基盤材料としての可能性について説明する。

古屋仲秀樹: 第13回(2005年度第5回)定例オープンセミナー(2005年9月21日)
メソポーラス・マンガン酸化物の電子顕微鏡写真

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