Research Institute for Sustainable Humanosphere

第8回(2004年第4回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2005/01/31(月)
題目 木材からのバイオエタノール生産
—白色腐朽菌とマイクロ波による複合前処理—
発表者 田邊俊朗 (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 2 (太陽エネルギー変換・利用)

要旨

1. 本プロジェクトの背景

  • 化石資源大量消費社会から循環型社会へ。
  • 代替エネルギーとして、太陽エネルギーを光合成で蓄積し、環境中での炭素循環が可能な木質バイオマスをエネルギー物質へ変換利用する。
  • 木質バイオマスの有効利用には前処理として脱リグニン処理が不可欠。

田邊俊朗 (2005-01-31)   第1図拡大図 (1036×300 JPEG file)

 

2. プロジェクト遂行方針

  • 国内から脱リグニン能が高い選択的リグニン分解菌を探索する。
  • 見いだした選択的リグニン分解担子菌による白色腐朽効果とマイクロ波照射を併用した省エネルギータイプ前処理技術の開発。
  • エタノール生産の低コスト化と高効率化を図る。

 

3. 白色腐朽菌処理とマイクロ波照射処理の利点と課題

  • 担子菌処理
    (利点)省エネルギー、環境負荷が小さい。
    (課題)処理に長期間を要する(数ヶ月)。
  • マイクロ波
    (利点)糖収率が高い(酵素糖化で蒸煮・爆砕や酸処理比)。
    (課題)密閉系で水共存下、200 ℃以上の高温・高圧処理〈大電力消費〉。

 

4. 課題解決方法の提案

  • 担子菌処理
    短期間でリグニン分解できるような腐朽菌を探索する。
    脱リグニンに適した腐朽培養条件を検討する。
  • マイクロ波照射
    木質の加熱に最適となるように照射装置を改良する。
    照射時条件の再検討〈溶媒など〉。
  • 複合処理
    リグニンやヘミセルロースの完全除去は目指さない。
    セルラーゼが木質内部に侵入できるような大きさの細孔形成を重視する。
    マイクロ波処理して脆くなった試料に対して脱リグニン効果が早まるか、または逆に担子菌によって部分的脱リグニンされた試料をマイクロ波処理することで必要な電力を削減できる可能性を検討する。以上のようなマイクロ波を用いた電磁波の制御技術と微生物の持つ機能とを相乗的に用いることで、地球温暖化問題や枯渇資源に代わるエネルギー資源開発に関する基礎的なデータを得たい。

田邊俊朗 (2005-01-31)  第2図拡大図 (1036×300 JPEG file)

 

5. プロジェクトの進行状況(2004年5月16日着任~2005年1月)

  • 選択的リグニン分解菌の探索
    • 第一次スクリーニング
      京都府、大阪府および滋賀県近辺の森林から、針葉樹の朽ち木に成育する担子菌を採取。
    • 第二次スクリーニング
      採取した担子菌を用いて、スギ木粉を 4 週間腐朽させた。腐朽後のスギ木粉をメイセラーゼにより糖化し、糖化率が高い菌株を 6 菌株選択した。
    • 第三次スクリーニング
      第一次、第二次よりも培養規模を大きくし、4 週間と 8 週間の腐朽を行った.腐朽後の腐朽後のスギ木粉をメイセラーゼにより糖化したところ、以前から高選択的リグニン分解菌として知られる Ceriporiopsis subvermispora ATCC90467 よりも重量減少幅が小さくかつ同菌株よりも高い糖化率を示す高選択的リグニン分解性白色腐朽菌を見いだした。
  • マイクロ波照射
    既存のマイクロ波照射装置を木材の加熱に最適化できるよう改良した。
    照射方法の改善および照射条件などを検討している。

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