Research Institute for Sustainable Humanosphere

第4回(2004年度第2回)定例オープンセミナー資料

開催日時 2004/11/22(月)
題目 MU レーダーを用いて大気乱流イメージングについての研究
発表者 Gernot Hassenpflug (京都大学生存圏研究所・ミッション専攻研究員)
関連ミッション ミッション 3 (宇宙環境・利用)

要旨

はじめに

日本の MU レーダーは、1984 年に建造され、中緯度の中高高度大気圏の研究と観測に活躍しているフェーズドアレーアンテナ VHF 帯(46.5 MHz)の巨大地上大気レーダーである(滋賀県信楽町)。

2004 年 3 月末にシステムが大幅に改良され、具体的には受信機のディジタル化、および受信機の増加(アナログコンバイナー 4 機にディジタル 25 機を加え、総合 29 受信チャネル)が行われた。送信周波数も 4 周波から 5 周波に増やされ、利用可能な送信周波数帯を 0.5 MHz から 1 MHz に拡大された。

低雑音増幅器とディジタルコンバイナーによってシステムセンシティビティーの改良とより安定した作動を目指している。75 m レンジ分解能を可能にする 0.5 µs 幅パルスと、高度 1 km の観測を可能にするパルスコーディングも新しく整備した。

2004 年 3 月末から、試験観測や実験を行い、新システムの作動と機能を確かめた。

今回の発表では、これらの結果を発表し、今後新システムがどのように使用されるかを述べる。

MU レーダー観測強化システムの結果

はじめに、基本動作を確認する試験を二つ行った。一つは旧システムの機能が新システムにおいて問題なく利用可能かを調べるものであり、そのためにディジタ ル受信機とコンバイナー、データ取得および処理ソフトのチェックを行った。実際には、DBS (Doppler Beam Swinging) 観測法を用いて受信したエコーパワーと風の推定が別の観測モードと一致するのを確かめた。

もう一つは新システムで追加された機能を試験するものであるす。まず、送信周波数をパルス毎に変える時にその周波数が選択した送信ビームと合うのを確認した。FDI (Frequency Domain Interferometry、周波数干渉計)に不可欠な条件である。簡単なフーリエ法の FDI 観測を行い、複雑なアルゴリズムを利用する前に FDI の作動を確かめた。

さらに、SDI (Spatial Domain Interferometry、空間干渉計)を用いて、対流圏乱流のパラメータを推定して、25 コのディジタル受信機で同時観測できるのを確かめた。SDI 観測を 75 m と150 m レンジ分解能で実施し、唯一の垂直ビームによって、150 m と 75 m レンジ分解能のデータを比較しました。レンジサーンプリングがまだ 150 m であるので、ビーム数を二倍にして、2 つのパルスを使って、75 m のデータを推定するのである。

SDI モードと FDI モードの同時観測データも 2004 年 6 月に取得して、コヒーレントレーダーイメージング法を現在調整している。25 受信機と 150 m 以下レンジ分解能のイメージングにより今までにない詳細な乱流の構造が解明できると期待している。

これからの課題

2004 年 3 月末以来、MU レーダー観測強化システムで様々な試験を行い、作動確認をした。結果から見ると FDI モードも、SDI モードも利用可能である。今後は三次元コヒーレントレーダーイメージング法を可能にする予定である。また、FDI、SDI によりレーダーのレンジゲートよりも薄い大気散乱層の構造を解明し、小規模大気乱流発生メカニズムと寿命の研究を行う予定である。

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