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MUレーダーと信楽MU観測所/赤道大気レーダー

更新日: 2021/04/05

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MUレーダーと信楽MU観測所

MUレーダー(Middle and Upper Atmosphere Radar:中層超高層大気観測用大型レーダー)は、滋賀県甲賀市信楽町の信楽MU観測所に設置された世界最高性能、アジア域最大規模を誇る大気観測レーダーです。1984年の完成以来、国内外の研究者に利用され、気象から超高層にいたる地球大気変動の解明に貢献しています。MUレーダーは「世界初のアクティブ・フェーズド・アレイ方式の大気レーダー」として、IEEEマイルストーンに認定され、2015年5月に贈呈式が行なわれました。この賞は、電気・電子・情報・通信分野の世界最大の学会として知られるIEEEが、電気・電子技術やその関連分野における歴史的偉業に対して認定するもので、日本では、八木・宇田アンテナ、東海道新幹線などが認定されています。

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MUレーダー

周波数46.5MHz、出力1MW(尖頭電力)のVHF帯の電波を用い、アンテナは直径103 mの円内に475 本の直交八木アンテナを並べた構造です。高速な送受信ビームの制御と多種多様な観測が可能なシステム設計が特徴です。2004 年にMU レーダー観測強化システムを導入し、超多チャンネルデジタル受信機によるイメージング観測(大気微細構造の観測)が可能になりました。2017年にはMUレーダー高感度観測システムを導入し、受信感度が向上しています。

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信楽MU 観測所と種々の大気観測装置

MUレーダーで培われた技術を応用して種々の小型大気レーダーが開発され、電波・光を用いた複合観測も行なわれています。8haにおよぶ信楽MU観測所に設置されたこれらの装置のほか、共同利用研究のための機器が日本各地から持ち込まれ、大気観測の一大拠点となっています。

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赤道大気レーダー(EAR)

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インドネシア共和国西スマトラ州の赤道上にある直径110mの敷地に、560本の3素子八木アンテナを配置した大型の大気観測用ドップラーレーダーです。MUレーダーにくらべて送信出力が1/10であるものの、高速ビーム走査が可能です。高度1. 5kmから20kmまでの対流圏および下部成層圏、高度90km以上に拡がる電離圏イレギュラリティなど、広い高度範囲を観測できます。インドネシア航空宇宙庁(LAPAN)の協力のもとに、2001年6月以降、EARは長期連続観測を継続中です。さらには名古屋大学や東京都立大学、島根大学、情報通信研究機構、電子航法研究所等と連携して、多くの観測装置を集積してきました(下図)。

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赤道では、積雲対流とよばれる大気擾乱が活発です。これによってつくられる大気波動が上空に伝わることで、エネルギーが地表付近から電離圏まで運ばれます。中低緯度域から赤道域に集中する大気物質も、上空に吹き上げられ、対流圏界面を通過して、地球全体に輸送されます。超高層の電離圏でもプラズマの擾乱(赤道異常)が起こります。赤道域のすべての高度層で現れる、エネルギーと物質の流れを「赤道ファウンテン」としてとらえ、その変動を観測するため、MUレーダーと同等の感度・機能を有する赤道MU(EMU)レーダーの新設を提案しています。EMUレーダーを主要設備の一つとする「太陽地球系結合過程の研究基盤形成」(代表・津田敏隆)は、日本学術会議の「マスタープラン2014・2017 重点大型研究計画」と文部科学省の「ロードマップ2014」に選定されています。

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赤道MUレーダーはEARの北側に設置予定である。MUレーダーとほぼ同等の感度を持ち、下層/中層/超高層大気の全域が観測できる。

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