要旨
地球環境の現在を知り、近未来における変化に備えるためには、近い過去にどのような気候/環境の変動があったかを詳細に復元し、その変動要因を探ることが 必要不可欠である。とりわけ、我々が住むアジアの広域的な古気候/古環境の変動要因として、最も大気の対流活動が活発な赤道域の変動過程を知ることは極め て重要である。本研究は、京大地球惑星系 21 世紀 COE から生まれた新しい研究プログラムであり、大気の対流活動が最も活発な赤道域の気候変遷を明らかにすることを目指し、アジア赤道域の中核に位置するインド ネシア・ジャワ島において、鍾乳石を用いた古気候/古環境の復元を進めている。これまでに、ジャワ島西部のスカブミ地域、中部のカランボロン地域、東部の グヌングシュー地域において計 4 回のフィールド調査を行い、鍾乳石と滴下水を多数採取した。現在、鍾乳石の組織観察と成長縞の同定、鍾乳石と滴下水の年代測定と安定同位体分析、局地的な 気象データのとりまとめなどを行っている。本講演では、このプロジェクトの概要を、基礎的な事から出来るだけわかりやすく紹介する。
