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炭素安定同位体を用いた樹木炭素蓄積量に影響する要因の解明
Environmental drivers for annual tree growth divided into apical growth and cambial growth

更新日: 2023/05/01

氏名 田邊 智子
共同研究者 髙橋けんし
採択年 2023(令和5) 年度

関連ミッション

  • ミッション1 「環境診断・循環機能制御」

研究概要

 地球の平均表面温度は大気中の二酸化炭素濃度と比例関係にある。よって将来の気候予測には全球的な炭素循環の仕組みを知ることがかかせない。樹木は光合成により大気中の二酸化炭素を吸収する。取り込まれた炭素は、分裂組織の異なる伸長成長と肥大成長というふたつの成長に使われると長期間樹体内に蓄積される。樹木成長量の年変動は、幹の高さ1.3m(胸高)の肥大量を指標とした評価が主流である。胸高の幹肥大量の年変動と気象要素との網羅的な統計解析により、成長量に影響する気象要因が抽出されてきた。
 一方で、胸高の幹肥大量の多い年に、幹伸長量や枝肥大量も多いとは限らない。つまり、ある高さの幹肥大量では、個体全体の成長量の年変動を正しく評価できていない可能性がある。またこれまでは月別の気象データを用いた解析が踏襲されてきたが、同じ月でも上旬と下旬では成長段階が異なるため、月別の期間は樹木の成長開始や停止といった成長フェノロジーと対応していない。
 本研究では、従来の解析では見過ごされてきた幹肥大以外の成長にも着目したうえで、樹木の成長量を大きく左右する光合成期間を明らかにすることを目的とする。具体的には幹と枝の伸長量と肥大量を対象に、成長フェノロジーの測定と炭素安定同位体を利用した光合成産物の追跡を繰り返し行うことで、樹木の時間軸で期間を区切ったうえで、その間の光合成産物の行き先を照合する。各器官の成長量に直結する光合成期間が分かれば、その間の気温や日射量といった環境要因が、それぞれの成長量に大きく関与していることが示唆される。今後起こるとされる環境変動に対して、樹木成長量がどのように変化し得るかといった予測への直接的な貢献が期待できることから、ミッション1: 環境診断・循環機能制御に関わる研究課題である。

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2023年5月1日作成

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