Research Institute for Sustainable Humanosphere

酵母を用いた植物由来抗がん薬パクリタキセル生合成のカスタムデザイン
Designing the bioconversion system customized for plant cell culture materials in production of the anticancer drug paclitaxel in yeast

氏名 草野博彰
共同研究者 矢崎一史
採択年 2021(令和3) 年度

関連ミッション

  • ミッション5-1 人の健康・環境調和(生理活性物質、電磁波、大気質)
  • ミッション5-2 脱化石資源社会の構築(植物、バイオマス、エネルギー、材料)

研究概要

パクリタキセルは針葉樹イチイから採れる天然の抗がん薬で、乳がんや卵巣がんの他、多様ながん種の治療に広く適用されており、世界的な需要が右肩上がりに増している。その安定供給は高品位な人類生存圏の維持に欠かせないが、イチイの樹木資源には限りがある。このような状況はパクリタキセルの発見当初から予測されており、持続可能な生産法の必要性は永く指摘され続けてきた。これまでに有機合成法などの代替的製造技術が開発されてきたが、主にコスト面の課題から樹木資源に依存した製造は現在も主流である。イチイの天然資源を保護し、同時にパクリタキセルの安定供給を可能にするには、コスト面で天然資源由来の製法に匹敵する製造技術を開発する必要がある。

パクリタキセルの天然の生合成経路は未同定な部分を含めて約17段階からなると考えられている。現在実用されている「半合成」技術は、イチイ原料に豊富に含まれる中間体を出発材料とし、この多段階反応の一部だけを有機合成系に置き換えることで、限られた資源の有効活用に成功している。また、イチイの細胞培養技術はイチイ樹木資源を利用することなく、短期間・低コスト・省スペースで、パクリタキセルの合成中間体を生産できる。このため樹木資源を消費しないパクリタキセルの製造技術の確立につながる有力な要素技術である。

そこで本研究では低コストで培養できる酵母を利用し、この培養細胞から生産される中間体をパクリタキセルへ変換する技術の開発を目指す。これまでの例ではひとつの細胞内で複数段階の生合成反応を再現した例はない。そこで、それぞれ単一の生合成段階を担う酵母を複数種類作成し、それらを混合することで、ひとつの培養槽内で一連の生合成経路を成立させる。また、未同定な生合成酵素を同定することで、未利用な生合成中間体の活用を可能にし、さらなる高効率化を目指す。

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2021年4月23日作成

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