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多様な観測データベースを用いた地球大気環境の長期変動に関する研究
Study on long-term variation of the earth’s atmospheric environment using a variety of observation databases

更新日: 2016/05/13

氏名 新堀淳樹
共同研究者 津田敏隆
採択年 2016(平成28) 年度

人類の活動によって大気中に放出された温室効果ガスは、対流圏を含む地表面付近の温度を上昇させるのに対して、成層圏から熱圏にわたる中層・超高層大気では温度を下降させることがこれまでの研究から指摘されている。特に、1990年以降、長期にわたる地上・衛星観測のデータ解析やモデル・数値シミュレーション[Aikin et al. 1991; Lastovicka, 2009]によって、地球温暖化による影響が超高層大気において強く現れることが明らかになってきた。このことを踏まえると、超高層大気の長期変動の中には、太陽活動による影響に加えて地球温暖化に起因する長期変動が明確に含まれているものと考えられる。しかしながら、超高層大気の循環場は単純な放射過程のみでは決まらず、大気波動の上方伝搬に伴う運動量・エネルギー注入といった下層大気からの影響、太陽紫外線や太陽風などによる宇宙空間からの影響が複雑に絡み合った結果として観測される。そのため、太陽から地球大気に至る分野を隔てた様々な長期観測データを統合解析することで、その変動要因を分析し、超高層大気を含む地球大気環境の長期変動メカニズムを解明することが急務となっている。

一方、これまで地球の超高層大気分野の地上観測網を全球的に整備し、これらの観測データを長期にわたって取得・収集してきた国内の5研究機関(東北大学、国立極地研究所、名古屋大学太陽地球環境研究所、京都大学、九州大学)の協力体制の下で大学間連携プロジェクト「IUGONET」が2009年度から6ヶ年計画で進められた。このプロジェクトでは、太陽・超高層大気に関連する様々な観測データに対してメタデータの抽出を行い、図 1に示すようにそれらをインターネット上で相互参照するメタデータ検索システムと様々な観測データを解析・可視化するソフトウェアの開発が進められた。現在では、これらのIUGONETデータ解析システムが完成し、超高層大気だけでなく、気象分野に至る観測データや衛星観測、シミュレーションデータまで取り扱えるように拡張されている。

このような背景の下で、本研究では、多様な地球大気環境観測データを含む生存圏データベースやIUGONETデータ解析システムを有効活用することによって、太陽、超高層大気を含んだ分野をまたがる多様な地球大気環境データを詳細に解析し、太陽活動と下層大気変動による地球大気環境長期変動のメカニズムを解明することを目的とする。

図 1. IUGONETプロジェクトの外観図。IUGONETでは太陽・超高層大気観測データのメタデータをデータベース化し、それらをインターネット上で共有するシステムを構築した。

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2016年5月13日掲載

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