Research Institute for Sustainable Humanosphere

無衝突磁気リコネクションの運動論的研究
Kinetic modeling of collisionless magnetic reconnection

氏名 銭谷誠司
共同研究者 大村善治
採択年 2018(平成30)年度

宇宙空間のうち、地球の固有磁場が卓越する近傍領域を地球磁気圏と呼ぶ。地球磁気圏は遠方宇宙からの高エネルギー宇宙線や太陽面爆発由来のプラズマ流を遮蔽して、内側の人類の生存環境を守る重要なバリアー領域である。このような磁気圏の外側境界面では磁場の向きが急に変わるため、磁力線がつなぎ変わる磁気リコネクションが起きることが知られている。さらに外側境界のみならず、磁気圏の夜側領域でも磁気リコネクションが発生して磁気圏内部に高エネルギー粒子を供給し、オーロラの生成に関わっている。

このような宇宙プラズマ中で起きる磁気リコネクションの物理は、系全体の振る舞いと領域内のプラズマ(イオンと電子)の粒子運動が相互に影響しあうたいへん複雑なものである。そのため、リコネクションの物理を通常のプラズマ理論で理解することは難しく、仮想プラズマ粒子の運動を解き進めるプラズマ粒子シミュレーション(PICシミュレーション)や、人工衛星による「その場」観測によって、研究が進められている。2015年には、NASA の MMS (Magnetospheric Multiscale)衛星群が打ち上げられて、地球磁気圏周辺の磁気リコネクション領域の超高解像度の観測を始めたところであり、これと相補的に進める磁気リコネクションの理論・基礎研究もますます重要になってくる。

我々は、PIC シミュレーションを用いて、MMS で観測が進む磁気リコネクションの詳細(電子)物理を研究している。通常の PIC シミュレーション研究では、1つの計算格子の中に10~102個、計算全体では109~1012個という非常に多くの粒子を使っているが、研究者個人が観るデータは限られていた。我々は、シミュレーションの粒子データをなるべく多く活かす解析方法を開発することで、これまで手がつけられていなかった膨大な情報を引き出すことを模索している。

2017年度は、磁気圏プラズマと太陽風プラズマが接する地球磁気圏の昼側境界を念頭に、性質が異なるプラズマ境界で起きる「非対称」磁気リコネクションの性質を詳しく調べた。そして、シミュレーションデータをもとにした粒子混合の指標を考案するなどして、新しい解析の可能性を示した。2018年度は、このようなプラズマ混合と、プラズマの運動論エントロピーとの関係を整理したうえで、シミュレーション結果のさらなる解析に取り組む予定である。

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2018年4月17日作成

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