Research Institute for Sustainable Humanosphere

植物バイオマス由来抗ウイルス活性物質の探索
Antiviral compounds from plant biomass

氏名 應田涼太
共同研究者 渡辺隆司
採択年 2018(平成30)年度

世界人口は約70億人(2011年11月現在)を超え、今世紀末までには100億人を突破すると言われている。化石資源に過度に依存した社会構造から、地球温暖化が進み、人や動植物などの移動が活発化するについて、病原性ウイルスによる感染症の蔓延が深刻化している。このため、病原性ウイルスによる感染症の蔓延を予防する消毒薬や薬効成分を、再生可能資源から生産することの意義は大きい。

木材は、これまで建材や紙パルプへの利用が中心で、微量な抽出成分を分離して機能解析をする研究は活発に行われてきたが、木材そのものを人為的に分解して、生理活性物質を合理的に作り出す研究はほとんど行われていない。これまで、我々は広葉樹や針葉樹、タケ類などの木竹材を炭化炉や乾溜炉により炭化する際に生じる排煙を冷却・凝縮させることで得られる液体である木竹酢液に着目し、多様なフェノールやカテコール誘導体が含まれることを明らかにして、それらの構造と濃度を解析し抗ウイルス活性を評価した。その結果、カテコールを上回る非常に強い抗ウイルス活性をもつ化合物を複数見出した。さらに、芳香環につく置換基の種類や位置により抗ウイルス活性が大きく変化することを見出した。また、カテコール類は直接ウイルスを不活化させるだけではなく宿主細胞の免疫応答をROS(Reactive Oxygen Species)の誘導を介して活性化させる機能を持つことを明らかとした。

本研究においては、抗ウイルス活性物質を作り出すのに適した木材の分解条件を探索して、廃材や未利用材などからも、合理的に生理活性物質を作り出す事を目的としている。2010年、家畜伝染病である口蹄疫が宮崎県で発生し、29万頭の牛や豚が殺処分された。口蹄疫は、ピコルナウイルス科の口蹄疫ウイルス(foot-and-mouth disease virus; FMDV)による感染症である。FMDV感染による致死率は低いものの、その高い伝播性や罹患した動物の生産性減少のため、患畜は全て速やかに殺処分される。したがって、FMDV感染においては予防対策が重要であることに疑いの余地はない。我々の行う研究によって廃材や未利用材から合理的に抗ウイルス活性物質を得る方法が確立出来れば、安価で持続可能であり環境への悪影響が少ない新たな感染症予防法として応用が期待出来る。

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2018年4月25日作成

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