Research Institute for Sustainable Humanosphere

無衝突磁気リコネクションの運動論的研究
Kinetic modeling of collisionless magnetic reconnection

氏名 銭谷誠司
共同研究者 大村善治
採択年 2017(平成29)年度

宇宙空間のうち、地球の固有磁場が卓越する近傍領域を地球磁気圏と呼ぶ。地球磁気圏は遠方宇宙からの高エネルギー宇宙線や太陽面爆発由来のプラズマ流を遮蔽して、内側の人類の生存環境を守る重要なバリアー領域である。このような磁気圏の外側境界面では磁場の向きが急に変わるため、磁力線がつなぎ変わる磁気リコネクションが起きることが知られている。さらに外側境界のみならず、磁気圏の夜側領域でも磁気リコネクションが発生して磁気圏内部に高エネルギー粒子を供給し、オーロラの生成などに関わっている。

このような宇宙プラズマ中で起きる磁気リコネクションの物理は、系全体の振る舞いと領域内のプラズマ(イオンと電子)の粒子運動が相互に影響しあうたいへん複雑なものであることが知られている。そのため、リコネクションの物理を通常のプラズマ理論で理解することは難しく、仮想プラズマ粒子の運動を解き進めるプラズマ粒子シミュレーション(PICシミュレーション)や、人工衛星による「その場」観測によって、長年にわたって研究が進められている。2015年3月には、地球磁気圏の磁気リコネクション領域を時間・空間分解能の両面で高解像度観測を行う、NASAのMMS (Magnetospheric Multiscale)衛星群が打ち上げられた。MMS は磁気圏昼側境界を重点的に観測したのち、2017年夏から磁気圏夜側の磁気リコネクション領域の観測を開始する予定で、今後、磁気リコネクションの内部の詳細なプラズマ(電子)物理が明らかになることが期待されている。そして、MMS 衛星群の観測結果を理解するために、これと相補的に進める磁気リコネクションの理論・基礎研究もますます重要になってくる。

我々は、PICシミュレーションを用いて、MMSで明らかになるはずの磁気リコネクションの詳細(電子)物理を研究する予定である。通常のPICシミュレーション研究では、1つの計算格子の中に10~102個、計算全体では109~1012個という非常に多くの粒子を使っているが、研究者個人が観るデータは限られていた。我々は、シミュレーションの粒子データをなるべく多く活かす解析方法を開発することで、これまで手がつけられていなかった膨大な情報を引き出すことを計画している。

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2017年5月2日作成

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