Research Institute for Sustainable Humanosphere

新規有用木質を産生する大型イネ科植物の作出に向けた基盤研究
Fundamental research for the production of large-size gramineous plants producing a novel useful lignocellulose

氏名 山村正臣
共同研究者 梅澤俊明
採択年 2013(平成25) 年度

現在、バイオ燃料生産の原料として注目されている大型イネ科植物は、非可食性、環境適応性など様々な特徴を有しているが、その中でも特筆すべきはそのバイ オマス生産性の高さである。例えば、熱帯で栽培されているソルガムの年間生産量は乾物重で 100 t/ha 以上にも達し、熱帯樹木の 10 倍以上のバイオマス量を生産する。また、日本においても西南日本ではエリアンサス、東北日本ではミスカンサス(ススキ)といった大型イネ科植物が栽培可能 であり、乾物重で年間 20–50 t/ha のバイオマスを生産可能である。したがって、この驚異的なバイオマス生産性を有効利用することが喫緊の課題である。

近年のエリアンサス・木質についての詳細な化学分析より、エリアンサスの特定の部位及び器官において針葉樹に匹敵するほど多くのリグニンを蓄積しているこ とが明らかとなった。一般に、リグニンはバイオ燃料生産における酵素糖化の工程に対して阻害的に働き、またその量が多いほど酵素糖化性を悪くすることが知 られている。イネ科植物は脱リグニンが比較的容易であるものの、その処理にかかるコストや手間を考慮した場合、リグニン自体を有効に利用する方がより合理 的である。リグニンは地球上で最多蓄積量を誇る芳香族資源であるが、その構造の複雑さ、単離の難しさ、誘導体化起点となる官能基の乏しさから、現状ではリ グニンの有効利用は困難である。

したがって、構造が単純、単離が容易、且つ反応性が高い新規のリグニン構造を生産する大型イネ科植物を作出し、高バイオマス生産性という特徴を最大限に活 かし、バイオ燃料生産の原料としてだけでなく、大規模な有用低分子芳香族化合物の供給源として高付加価値化を図りたい。しかし、大型イネ科植物の形質転換 は、植物種によって形質転換効率が低い、または形質転換系が未確立であるのが現状である。それゆえ、本ミッションではモデル植物であるイネを用い、今の段 階から様々な構造改変リグニンとその分解性及び反応性についての基盤情報を蓄積し、得られた研究成果を将来的に大型イネ科植物に応用したいと考えている。

2013m06

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