『生存圏研究-Sustainable Humanosphere』ISSN 2758-4259
第18号，2022（令和4）年10月14日発行 

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目次・巻頭言                                             

目次
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巻頭言 
　生存圏研究所長　山本 衛
　P1 
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総説

地球大気を電波リモートセンシングで探る
　山本 衛 
　P2-P9
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　概要（クリックで表示）

電波とは何だろうか？テレビや携帯電話などの通信機器は、電波を使って情報を伝えるが、別の利用方法として遠隔観測（リモートセンシング）がある。アンテナから放射された電波は、大気の密度や温度の変化、雨滴や雲粒などの影響をうけて、反射・散乱・屈折を受けながら飛び回る。当研究所はMUレーダー（滋賀県・信楽）や赤道大気レーダー（インドネシア）を使って、大気の動きや構造を研究している。一方、GPSに代表される衛星測位は、大気中での電波の屈折を計測することができ、研究に応用されている。電波を使った大気環境のセンシング技術と研究成果の例を紹介する。(クリックで格納)

地球で一番大きな生物を支える「セルロース」について
　阿部 賢太郎
　P10-P15
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　概要（クリックで表示）

我々が生活しているこの地球は大体46億年前に誕生したと言われている。その長い歴史の中で、もっとも大きな生物は何だろうか？ときに100 mを超え、1000 tを超えるその巨大生物の体は、幅4 nm（1 nmは1 mmの1,000,000分の1）程度の、とても細くてとても強い繊維によって支えられている。その繊維は、我々の周りに豊富に存在しており、我々もよく食べている。そして、今、その細くて強い繊維が、さまざまな形で我々の暮らしをも支えようとしている。この総説では、その巨大生物が自分の体を支える秘密について紹介しつつ、その秘密に関係する細くて強い繊維「セルロース」について紹介する。(クリックで格納)

植物成分を微生物に作ってもらう 
 　棟方 涼介
 　P16-P22
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　概要（クリックで表示）

お茶やコーヒーの覚醒成分カフェインや、バラの放つ香り成分、薬用植物が貯める薬効成分など、植物が作る化合物は私たちの生活の至る所で活躍している。植物成分は100万種にも及ぶとされ1,2)、持続型社会を支える天然資源として活用拡大が期待されている。しかしながら、植物の有用成分の中には特定の植物種に微量にしか含まれない、また原料植物の大規模育成が困難である場合も多いなど、植物成分の大量生産に向けて植物ならではの課題が残っているのが現状である。この解決に向けて、植物成分を植物ではなく微生物に作らせるという手法が近年注目を浴びている。本原稿ではこの新しい生産方法の持つポテンシャルについて紹介する。(クリックで格納)

「万能アンテナ」の開発
　 氏原 秀樹
　 P23-P30
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　概要（クリックで表示）

周波数や用途の異なる様々なアンテナの兼用を目指して広帯域アンテナを開発している。周波数帯域だけでなくビーム幅の選択肢も広いため、新たなフィードを設置するゆとりがない古い電波望遠鏡や大型カセグレンアンテナのアップグレード、探査衛星の小型化・多機能化など様々なアンテナ光学系のフィードアンテナに適応可能である。本稿ではこれらの広帯域フィードを利用した大気中の水蒸気分布の精密観測を目指した次世代ラジオメータ、その機能に加えてVLBI観測のできる広帯域受信機、旧来の大型アンテナのアップグレードを目指した広帯域フィードの開発、低周波側のRFI(Radio Frequency Interference)による混変調雑音を急峻な遮断特性で抑圧するOMT(直交モード変換器)の開発と将来構想について述べる。(クリックで格納)

Evolution of electron zebra stripes in the Earth’s inner magnetosphere 
　Megha Pandya
　P31-P34
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　概要（クリックで表示）

We focus on the charged particle in space that exhibits a complex interaction under the influence of the Earth’s magnetic field. For certain conditions, these charged particles may get trapped into the Earth’s magnetosphere and execute distinct periodic motion unless an external perturbation acts on it. The external perturbation affects the trajectory of the charged particles and leads to the redistribution of their configuration in the space. The energetic particles with energies ranging from 100 keV to a few MeV are trapped in about 1-7 RE forming a doughnut-like two-belt structure namely: (i) the inner radiation belt which is located at about ~1-2.5 RE and (ii) the outer radiation belt which is located at about 3-7 RE. The inner belt mainly consists of protons and is relatively stable, while the outer belt is highly dynamic with relativistic electrons. The region between the inner and outer belt is generally devoid of energetic charged particles and is named as slot region. The outer belt electrons continuously decay and reform with each reformed belt may have different physical properties and intensities. The energy versus L-value spectrum of electrons in the inner belt was previously expected to be monotonic and smooth. Later, multi-peaked structures of electron intensities are observed in the energy spectra at L<3. The peak-to-valley ratio of the intensities was observed to reach 10 times or more. Currently, we are testing plausible global mechanisms for the formation of such structures and their variation that could be responsible to alter the magnetic field configuration in the inner magnetosphere down to L = 1.1.(クリックで格納)

解 説・資 料

生存圏ミッション研究のキーワード統計解析
　上田 義勝, 梅澤 俊明
　P35-P45
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　概要（クリックで表示）

生存圏ミッション研究は、生存圏研究所の中心となる重要な研究テーマである。研究所発足当初から継続されている重要な研究テーマから、新たに融合研究として生まれつつある研究テーマまで、幅広いミッションが存在している。本報告においては、このミッション研究の報告書の文章をキーワード解析する事で、研究の広がりについて解析を行った。この解析は生存圏研究所ミッション推進委員会として行ったものであるが、解析結果を資料として残す意味からも重要であると考え、まとめている。実際に解析を行ったのは平成28年度から令和3年度までの研究報告書を用いた。また、解析にはR言語を用いて行っている。(クリックで格納)

生存圏研究所の研究ミッションのとりまとめに関する一考察
　梅澤 俊明, 上田 義勝
　P46-P55
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　概要（クリックで表示）

生存圏研究所の研究ミッションは、生存圏研究所の基盤となる重要な研究の方向性・目標である。研究所発足当初から継続されている重要な研究から、新たに融合研究として生まれつつある研究まで、多岐にわたった多数の研究を包含している。本報告においては、研究ミッション傘下の網羅的な研究に関しいくつかの角度から解析し、多様性の中の統一に関して考察した。(クリックで格納)

欧米に散逸した神像群をめぐる木材解剖学×美術史学の国際的な学際研究 
　田鶴 寿弥子
　P56-P60
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　概要（クリックで表示）

かつて出雲地方の某神社からアメリカ、イギリス、カナダなど世界中の様々な美術館や博物館へと散逸したとされる日本の神像彫刻群について、国際的な学際研究の一環として光学顕微鏡や放射光Ｘ線マイクロCTによる樹種調査を適用した結果、モクレン属（ホオノキか）が多用されていることを明らかとした。さらに複数について放射性炭素年代測定を適用した結果、製作時期を10–12世紀に絞り込むことができた。古代の木彫像調査は様々行われているが、平安後期においてこのようにホオノキが多用された事例は、ほとんど認められておらず、神像・仏像彫刻の展開や美術史研究に新たな視座を付与するものとして注目される。これを契機に特に日本海沿岸地域における神像の調査を進めてきているが、古代、ホオノキによる木彫像制作が積極的に行われた時期あるいは地域が存在した可能性が示唆されつつあり、これまで見えていなかった木彫像の用材観ならびに文化的側面の解明に寄与するものとして期待される。本論文は、2022年3月に公開された筆者らの研究論文1) を総括した上で、現時点での私見を加えたものである。(クリックで格納)

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