研究者のコメント
「オーロラ観測の妨げとなる太陽光を積極的に活用するという逆転の発想によって、新たな扉が開かれました。その鍵を握るのが核融合科学研究所が開発した新しい観測装置です。今後は、レーダーなどほかの観測やモデル計算と組み合わせることで、地球大気の流出現象とその結果おこる宇宙環境変動など、地球と宇宙の関係をより深く探っていきたいと考えています。」(海老原祐輔)
自然科学研究機構核融合科学研究所は2023年5月にスウェーデン・キルナ「オーロラ観測用ハイパースペクトルカメラ(HySCAI: Hyperspectral Camera for Auroral Imaging)」を設置し、同年9月より本格的な観測を開始しました。
この度、海老原祐輔 生存圏研究所 生存科学計算機実験分野 教授、居田克巳 核融合科学研究所特任教授、吉沼幹朗 同助教、塩川和夫 名古屋大学教授の研究グループは、HySCAIを用いて天文薄明時に青い光を放つ窒素イオン(N2+)オーロラの高度分布を観測することに成功しました。本研究では、太陽光がオーロラを照らす高度が薄明の進行とともに変化する現象を利用するという、これまでにない全く新しい手法を開発し、これにより、窒素イオンの発光強度の高度分布の精密観測に成功しました。本成果は、発光のピークが高度約200kmに位置し、その強度が極めて強いことを見出しました。
本研究成果は、2025年11月5日に、国際学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。
「オーロラ観測の妨げとなる太陽光を積極的に活用するという逆転の発想によって、新たな扉が開かれました。その鍵を握るのが核融合科学研究所が開発した新しい観測装置です。今後は、レーダーなどほかの観測やモデル計算と組み合わせることで、地球大気の流出現象とその結果おこる宇宙環境変動など、地球と宇宙の関係をより深く探っていきたいと考えています。」(海老原祐輔)

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