ミッション4「循環材料・環境共生システム」
平成28年度の活動
更新日: 2019/05/21
課題1-1 新たな木質構造の創成(五十田博・森拓郎・北守顕久)
木材の利用促進の担い手として期待されているクロスラミネーティッドティンバーをはじめ、新たな木質系部材の性能評価、それを用いた接合部の開発および評価、そして構造システムに関する研究を進めることで循環型社会の構築に貢献する。また、木質系部材や木質構造と他材料・構造を併用した構造の性能評価に関する研究から、新たな木材利用を提案する。
活動内容
- クロスラミネーティッドティンバーの種々の性能に関する研究
- クロスラミネーティッドティンバーに打ち込まれたラグスクリューボルトの引抜き性能に関する研究
- 大規模木造の耐震性能評価に関する研究
- 木-RCハイブリッド床システムの開発
- RC・S造の木質部材による耐震補強に関する研究
ハイブリッド床システムの強度実験 |
CLTによるRCフレームの補強実験 |
課題1-2 既存建物の構造性能評価と解析技術の開発(五十田博・森拓郎・北守顕久)
既存の木質系部材・接合部や木質構造の構造性能評価の高度化や適切に評価するための試験法を開発する。また、耐震性や床振動、そして劣化など、評価にあたりその許容値や恕限度が必要な項目については、閾値と性能の関係についても整理する。さらに、解析技術についても精緻化により確度の高い評価手法の実現を目指すとともに、その結果の見える化を進める。
活動内容
- 既存木造の耐震性能評価
- 木造住宅の地震被害軽減のための被害原因調査
課題2 木本植物の計量形態学的研究(杉山他)
材鑑調査室の管理・維持する木材標本を利用した研究の推進、特に木材に刻み込まれた情報をさまざまな科学的手法によってひもとき、循環型社会における木材利用のありかたを考察します。
活動内容
- 画像解析と機械学習による木材の自動認識
- 非破壊手法による樹種識別
- 高輝度放射光施設を用いた木材分析
研究成果
Junji Sugiyama, Kayoko Kobayashi (2016) wvtool: Image Tools for Automated Wood Identification, https://CRAN.R-project.org/package=wvtool
課題3 低環境負荷型木質新素材の創成および再生(金山公三・梅村研二・田中聡一)
木質新素材の生産、加工、利用、廃棄、再生利用にいたる一連の循環システムを構築します。
活動内容
- 薬液含浸木材の養生過程における細胞壁への物質移動制御
研究成果
(1) Soichi Tanaka,Masako Seki,Tsunehisa Miki,Ichinori Shigematsu,Kenji Umemura,Kozo Kanayama (2016)”Effect of Solvent Evaporation Rate on Solute Diffusion into Cell Walls in Solution-Impregnated Wood under Conditioning Process,” Journal of the Society of Materials Science, Japan, Vol.65, No.5, pp.359-364
(2) Soichi Tanaka,Masako Seki,Tsunehisa Miki,Ichinori Shigematsu,Kozo Kanayama (2016)“Solute diffusion into cell walls in solution-impregnated wood under conditioning process II: effect of solution concentration on solute diffusion,” Journal of Wood Science, Vol.62, No.2, pp.146–155
(3) Soichi Tanaka,Masako Seki,Tsunehisa Miki,Kenji Umemura,Kozo Kanayama (2016)“Solute diffusion into cell walls in solution-impregnated wood under conditioning process III: effect of relative-humidity schedule on solute diffusion into shrinking cell walls,” Journal of Wood Science, Accepted on January.
課題4 未来型資源循環システムの構築(吉村 剛、畑 俊充、柳川 綾)
木質資源を適切に長く利用するための耐久性向上の研究と、バイオマス由来の持続可能な機能性材料の研究開発を行っています。具体的な研究テーマは以下の通りです。
- シロアリ・木材腐朽菌などによる木材の劣化機構の解明とその防除
- バイオマス由来の持続可能な機能性材料の開発
- 生物的防除のための昆虫-微生物相互作用の解明
大型X線CTによって明らかとなった侵入害虫アメリカカンザイシロアリによる木材中の坑道
木材中に侵入したオオシロアリタケの菌糸
持続的機能性炭素材料における微細構造およびオニオン状炭素構造によって形成される細孔
ショウジョウバエ体表に付着した昆虫病原性糸状菌
平成28年度の代表的な研究成果
- Baek-Yong Choi and Tsuyoshi Yoshimura: Investigation of thermal conductive properties of structural timbers at low temperature region using solid carbon dioxide as a chilling agent, J. Wood Sci., 62, 356-362. DOI 10.1007/s10086-016-1557-4・Sensho Honma, Toshimitsu Hata, Yasunori Ohashi, Joko Sulistyo, Takashi Watanabe, Tsuyoshi Yoshimura: Simultaneous production of aromatic chemicals and ammonia adsorbent by pulse-current pyrolysis of woody biomass, J. Chemical Technology & Biotechnology, DOI: 10.1002/jctb.5027
- シロアリの世界に興味津々(7面) 洛南タイムズ(2016.11.19)(柳川 綾)
- 杠プロジェクト(街角ダイジェスト)FM Uji (2016.11.18) (柳川 綾)
- 読売新聞(地域27面)(2016.11.19) シロアリ生態 園児に驚き(柳川 綾)
- 未来に輝くこどもを育む宇治の幼児教育(2面) 宇治市政だより(2017.01.15) (柳川 綾)
課題5 セルロースナノファイバーの製造と利用
(矢野浩之、阿部賢太郎、中坪文明、臼杵有光)
植物細胞の基本骨格物質であるセルロースナノファイバーを用いた様々な材料開発を進めている。
- 様々な植物資源からのセルロースナノファイバー製造と特性評価
- バイオ系ナノ材料の開発
- 新規セルロースナノファイバー用途の開発
A. N. Nakagaito, M. Nogi, H. Yano: Displays from transparent films of natural nanofibers, MRS Bulletin, 35(3) (2010) 214-218