Research Institute for Sustainable Humanosphere

ミッション5-4「木づかいの科学による社会貢献(木造建築、木質住環境、木質資源・データベース、木づかいの変遷)」
平成28年度の活動

 課題1 アジアにおける木材情報の調査と保存(杉山淳司他)

我が国の適所適材の用材観や伝統的木製品は、アジア域の相互的文化交流の歴史によって培われた賜物であり、それらの知識なしに、我が国特有の木の文化を理解することは不可能です。本研究では、東アジア(中国、韓国、日本)における貴重な木製品や建造物などの樹種識別を実施することとともに、東南アジアの用材観と遺跡出土木材の樹種識別と保存に関する国際共同研究を実施しています。

活動内容

  1. 我が国の適所適材の用材観
  2. 東アジアの木の文化の調査
  3. 遺跡出土木材の識別と保存

研究成果

  • Hwang SW, Lee WH, Horikawa Y, Sugiyama ,Identification of Pinus species related to historic architecture in Korea by using NIR chemometric approaches, Journal of Wood Science 62(2), 156-167, 2016
  • 杉山淳司(分担執筆)、神戸女子大学古典芸能研究センター編,能面を科学する.世界の仮面と演劇,勉誠出,2016

課題2 熱帯における年輪気候学(津田敏隆他)

樹木生長率や同位体分析から気象要素の変動を解明する年輪気候学を熱帯域に適用する。熱帯に生育する樹木のうち、生長輪を残すチークあるいはスンカイのサンプルをインドネシア科学院ならびにインドネシア環境林業省などとの協力のもとで調査・収集する。

活動内容

  • 熱帯樹試料の収集
  • 熱帯樹の年輪幅・化学組成の計測

課題3 伝統構造・未来住空間 (五十田博他)

アジア域における伝統的な木造建築から、最新の中層木造建築までの種々の住環境的特徴や構造的性能を評価することにより「木づかい」の理解を深化させるとともに、その知見に立脚した新しい高性能木質素材を開発・利用することにより、安心安全な未来型木質住空間の創成を目指しています。

活動内容

  1. アジアにおける木造建築物の構法技術の調査と構造特性の評価

伝統的木造建築物には様々な構法・構造上の特徴があり、その技術を探求することで、建物の構造的な安全性を担保しつつ施工性・耐久性・居住性に適い、さらには材料である木材の特性を踏まえて経験的に発展してきた木づかいに対する先人の知恵を理解します。

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図 インドネシアSimalungun族の伝統構法技術の評価実験

  1. 木造建築物のモニタリングによる長期構造性能評価

長期にわたり安心で安全な建物を維持するためには、外乱に対する状態を常時監視し、必要に応じ適切な対処を実施することが重要です。本研究は、木造建物を対象に加速度計による長期振動計測を実施し、構造性能を評価するヘルスモニタリングシステムを構築し、実証実験をおこなっています。

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図 個別建物のモニタリングと主要な研究テーマ

研究成果

  • Kitamori, S.-Y. Yeo, T. Aoyama, Y.-L. Chung, T. Mori, M.-F. Hsu, K. Komatsu, H. Isoda, Experimental study on restoring force of Japanese traditional column combined with tie beam and bearing block, of WCTE2016, 2016
  • Sok Yee Yeo, Kohei Komatsu, Min-Fu Hsu, Zeli Que (2016). Mechanical model for complex brackets system of the Taiwanese traditional Dieh-Dou timber structures. Advances in Structural Engineering, 19(1), pp.65-85.

課題4 高性能木質素材(金山公三・梅村研二・田中聡一)

木質系材料の有効利用は、資源枯渇および地球温暖化に貢献する。それを促すためには木材の長寿命化が欠かせない。長寿命化には①リサイクル技術および②バルク材の高機能化が有効と考えられている。それぞれに対応して、①木質材料用の天然系接着剤の開発、および②閉鎖ピットなどの障害除去による薬液含浸の高度化を進める。

活動内容

  • スクロースおよびリン酸アンモニウムによる天然系接着剤の接着特性に及ぼす炭酸カルシウム添加の影響
  • 木材への液体含浸における急加圧が注入量に及ぼす影響

研究成果

  • 科研費:田中聡一, 研究活動スタート支援 “木材の含浸処理に関する基礎研究「急加圧による処理液通導阻害部の破壊」”, 課題番号:16H06895, 採択期間:2016/8/26-2018/3/31

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