Research Institute for Sustainable Humanosphere

ミッション5-4「木づかいの科学による社会貢献(木造建築、木質住環境、木質資源・データベース、木づかいの変遷)」
平成29年度の活動

 課題1 アジアにおける木材情報の調査と保存(杉山淳司他)

我が国の適所適材の用材観や伝統的木製品は、アジア域の相互的文化交流の歴史によって培われた賜物であり、それらの知識なしに、我が国特有の木の文化を理解することは不可能である。本研究では、東アジア(中国、韓国、日本)における貴重な木製品や建造物などの樹種識別を実施することとともに、東南アジアの用材観と遺跡出土木材の樹種識別と保存に関する国際共同研究を実施することを主課題とする。

活動内容

  1. 我が国の適所適材の用材観
  2. 東アジアの木の文化の調査
  3. 遺跡出土木材の識別と保存

研究成果

  1. Hairi Cipta: 日本木材学会福岡大会ポスター賞(2017.3)、IAWA若手優秀発表賞(2017.9)
  2. Nguyen Duc Thanh, Keita Sakakibara, Yoshinobu Tsujii, Yohsei Kohdzuma, Junji Sugiyama (2017) Shrinkage and swelling behavior of archaeological waterlogged wood preserved with slightly crosslinked sodium polyacrylate. Journal of Wood Science (online version). DOI: 10.1007/s10086-018-1696-x
  3. Nguyen Duc Thanh, Hiroshi Nishimura, Tomoya Imai, Takashi Watanabe, Yohsei Kohdzuma, Junji Sugiyama (2018) Natural durability of the culturally and historically important timber – Erythrophleum fordii wood against white-rot fungi. Journal of Wood Science (Accepted)
  4. Hairi Cipta, Widyanto Dwi Nugroho, Suyako Tazuru, Junji Sugiyama, Identification of wooden keris sheath using synchrotron X-ray microtomography, The 67th Annual Meeting of JWRS (March 2017, Fukuoka)
  5. Hairi Cipta, Suyako Tazuru, Junji Sugiyama, Visualizing tile cells on Kleinhovia hospita by means X – ray microtomography, The 2nd  ARN Symposium (July 2017, Kyoto)
  6. Hairi Cipta, Kayoko Kobayashi, Widyanto Dwi Nugroho, Suyako Tazuru, Junji Sugiyama Utilization of synchrotron X-ray microtomography to analyze anatomical features of wooden keris sheath ,The 9th PRWAC 2017 (September 2017, Bali)

課題2 熱帯における年輪気候学(田鶴寿弥子他)

樹木生長率や同位体分析から気象要素の変動を解明する年輪気候学を熱帯域に適用する。熱帯に生育する樹木のうち、生長輪を残すチークあるいはスンカイのサンプルをインドネシア科学院ならびにインドネシア環境林業省などとの協力のもとで調査・収集する。

活動内容

  1. 熱帯樹試料の収集
  2. 熱帯樹の年輪幅・化学組成の計測

研究成果

  1. Harada, M., Watanabe, Y., Nakatsuka, T., Tazuru-Mizuno, S., Horikawa, Y., Subiyanto, B., Sugiyama, J., Tsuda, T. and Tagami, T., 2017.  Assessment of Sungkai tree-ring δ18O proxy for paleoclimate reconstruction in western Java, Indonesia. Quaternary International 432, 33-38.
  2. 新井貴之・渡邊裕美子・久持亮・杉山淳司・松尾美幸・山本浩之・津田敏隆・田上高広, 2017.インドネシア島チークを用いた年輪気候学における年輪幅測定法の比較.日本地球惑星科学連合2017年大会,幕張メッセ国際会議場(千葉),5月20日-5月25日. 日本地球惑星科学連合2017年大会学生優秀発表賞を受賞.
  3. 久持亮・渡邊裕美子・栗田直幸・佐野雅規・中塚武・松尾美幸・山本浩之・杉山淳司・津田敏隆・田上高広, 2017.インドネシア・ジャワ島の年輪セルロース酸素同位体比の気候応答-プロキシシステムモデルを使った解析結果-.日本地球惑星科学連合2017年大会,幕張メッセ国際会議場(千葉),5月20日-5月25日.

課題3 伝統構造・未来住空間 (五十田博他)

アジア域における伝統的な木造建築から、最新の中層木造建築までの種々の住環境的特徴や構造的性能を評価することにより「木づかい」の理解を深化させるとともに、その知見に立脚した新しい高性能木質素材を開発・利用することにより、安心安全な未来型木質住空間の創成を目指しています。

活動内容

  1. アジアにおける木造建築物の構法技術の調査と構造特性の評価

伝統的木造建築物には様々な構法・構造上の特徴があり、その技術を探求することで、建物の構造的な安全性を担保しつつ施工性・耐久性・居住性に適い、さらには材料である木材の特性を踏まえて経験的に発展してきた木づかいに対する先人の知恵を理解します。

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図 インドネシアSimalungun族の伝統構法技術の評価実験

  1. 木造建築物のモニタリングによる長期構造性能評価

長期にわたり安心で安全な建物を維持するためには、外乱に対する状態を常時監視し、必要に応じ適切な対処を実施することが重要です。本研究は、木造建物を対象に加速度計による長期振動計測を実施し、構造性能を評価するヘルスモニタリングシステムを構築し、実証実験をおこなっています。

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図:個別建物のモニタリングと主要な研究テーマ

研究成果

  1. Akihisa Kitamori, Mitsuhir Miyamoto and Kohei Komatsu: Inplane Shear Behaviour of hanging wall Frame in Japanese Traditional Timber Building, East Asia-Pacific Conference on Structural Engineering and Construction (EASEC-15), Sofitel Convention Center, Xi-an, China, October 11-13, 2017
  2. Weizhen Cai,Zeli Que, Qicheng Teng,Akihisa Kitamori: Influence of angle on the shear resistance of self-tapping screw connecting LVL, the 68th Annual Meeting of the Japan Wood Research Society, March 2018, Kyoto
  3. 山本寛人,五十田博,楠 浩一、加速度記録をウェーブレット変換して求めたCLT工法建築物の層間変位の推定精度、日本木材学会大会、2018年3月

課題4 高性能木質素材(金山公三・梅村研二・田中聡一)

木質系材料の有効利用は、資源枯渇および地球温暖化に貢献する。それを促すためには木材の長寿命化が欠かせない。長寿命化には①リサイクル技術および②バルク材の高機能化が有効と考えられている。それぞれに対応して、①木質材料用の天然系接着剤の開発、および②薬液含浸の高度化を進める。

活動内容

  1. スクロースおよびリン酸アンモニウムによる天然系接着剤の接着特性に及ぼす炭酸カルシウム添加の影響
  2. 木材への液体含浸における細胞内孔から細胞壁への拡散における養生条件の影響

研究成果

  1. 野村光生、梅村研二、田中聡一、金山公三:スクロースと硝酸アンモニウムを用いた新規天然系接着剤の開発-スクロースと硝酸アンモニウムの混合比が硬化特性や接着性に及ぼす影響-、日本接着学会第55回年次大会、大阪(2017)
  2. 野村光生、梅村研二、田中聡一、金山公三:Development of a natural wood adhesive composed of sucrose and ammonium nitrate Development of a natural wood adhesive composed of sucrose and ammonium nitrate -Effect of mixture ratio of sucrose and ammonium nitrate on physical properties of wood-based molding- 、The 2nd Asia Research Node Symposium on Humanosphere Science、京都(2017)
図:パルク(塊り状態)木材のプレス成形(世界初の木材の流動成形技術) 成形前の薬液含浸技術の開発が重要

 

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