Research Institute for Sustainable Humanosphere

ミッション5-3「生活情報のための宇宙インフラ(測位・観測・通信機能の維持と利用)」
平成28年度の活動

課題1 スペースデブリの観測技術と軌道モデル構築に関する研究

研究体制

山川 宏(京都大学生存圏研究所)、M. Vasile(University of Strathclyde, UK)、花田俊也、藤田浩輝(九州大学工学研究院)、佐藤亨(京都大学情報学研究科)、山本衛、橋口浩之、星賢人、岩堀太紀、西村泰河、池田成臣、明里慶祐、小林優太、荒木亮輔、手嶋智樹(京都大学生存圏研究所)

研究概要

測位・観測・通信等の生活情報のための宇宙インフラや国際宇宙ステーションの維持と利用を図るために、これらに衝突して破壊する恐れのあるスペースデブリに関して、その観測、モデル化、除去等の総合的対応に関する工学研究を推進する。

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研究成果

  1. デブリ観測:スペースデブリの大きさやスピン状態の推定は、デブリの軌道進化や衝突可能性の検討において重要である。本研究において、MUレーダによるデブリ観測を実施し、大きさやスピンの推定をすることに成功した。
  2. デブリモデル化:英国Strathclyde大学のVasile教授のグループとスペースデブリモデルに関する共同研究を実施した。京都大学側は、地球低軌道におけるデブリ帯電モデルの構築、Strathclyde大学側が軌道伝搬解析を行った。
  3. デブリ除去:帯電装置を用いて積極的にデブリを帯電させ、地球磁場を通過する際に生じるローレンツ力によって、スペースデブリの高度を低下させ、大気圏に再突入させる手法を提案し、その具体的な帯電および軌道制御のシーケンスを明らかにした。

成果発表(学術論文、新聞発表等)

  • 京都大学ホームページ:京都大学MUレーダーで宇宙ごみの姿を捉える、2016年6月6日掲載
  • 産経新聞:「宇宙ゴミ」大気レーダーで観測成功…地球周辺の2万個ゴミ、衝突回避・除去に役立つ可能性 京大、2016年6月6日夕刊
  • 産経WESTホームページ:「宇宙ゴミ」大気レーダーで観測成功…地球周辺の2万個ゴミ、衝突回避・除去に役立つ可能性 京大、2016年6月6日掲載
  • SankeiBizホームページ:「宇宙ゴミ」大気レーダーで観測成功…京大 衝突回避・除去に活用も、年6月6日掲載
  • 京都新聞:宇宙ごみ 形や大きさ解析 京大グループ 除去につながる成果、2016年6月16日夕刊
  • 京都新聞:「超える」⑦宇宙ごみ、小惑星の衝突避ける~京都大学生存圏研究所・山川研究室~探査機ぶつけ地球守る、2017年1月10日朝刊(山城版)
  • 福島健, 池田成臣, 赤司陽介, 中宮賢樹, 山川宏 “ローレンツ力を用いたスペースデブリ除去のための帯電制御シーケンスに関する研究(Study on Charge Control Sequence for Debris Removal Using Lorentz Force),” 日本航空宇宙学会「航空宇宙技術」 15, pp. 101-110, 2016.
  • 河原淳人、岩堀太紀、山川宏、佐藤亨、山本衛、橋口浩之,”京都大学MUレーダーを用いたスペースデブリの観測手法に関する研究(Study on Space Debris Observation Method Using Kyoto University MU Radar)”,日本航空宇宙学会論文集, Vol. 64, No. 3, pp. 189-199, 2016.

課題2 GPSを用いた電離圏3次元トモグラフィー

研究体制 

山本 衛(京都大学 生存圏研究所)、齊藤 昭則(京都大学 大学院理学研究科)、斉藤 享(電子航法研究所)

研究概要

国土地理院によるGPS観測網GEONETのデータを3次元トモグラフィー解析することによって、日本上空の電離圏電子密度分布のリアルタイム・モニタリングが開始されている。本課題では、トモグラフィー解析の利用促進と、解析領域の周辺諸国への拡張を目指す。

研究活動

  1. トモグラフィー解析結果のweb公開の促進(Promotion of web publication of tomography results)

電子航法研究所(ENRI)が全国200点から得ているGEONETの1秒値を用いて、15分間隔のリアルタイム・トモグラフィー解析を行っている。このweb公開インターフェースの高度化を図る。また1996年から蓄積されてきたGEONETデータ全体のトモグラフィー解析を推進する。

  1. データ利用の推進

3次元トモグラフィー解析は、日本上空の電離圏モニタリングとして有効性が高いと考えられる。関連の深い研究機関や企業が参加するブレーンストーミング研究会を開催して、データ利用の拡大を目指す。(3月予定)

  1. 解析領域の拡張(Expansion of the analysis area)

GPS観測網は韓国や台湾などにおいても整備が進んでいる。これらを利用することによって、トモグラフィー解析領域の拡張を図る。このため、研究者を招いて研究ワークショップを開催する。(3月予定)

研究成果

[1] 学術論文(査読付) C. H. Chen, A. Saito, C. H. Lin, M. Yamamoto, S. Suzuki and G. K. Seemala, Medium-scale traveling ionospheric disturbances by three-dimensional ionospheric GPS tomography, Earth Planet Space, 68:32, DOI 10.1186/s40623-016-0412-6, 2016.

[2] 国際研究集会発表(査読付) S. Saito, S. Suzuki, M. Yamamoto, C.-H. Chen, A. Saito, Real-time Ionosphere Monitoring by Three-dimensional Tomography Over Japan, Proceedings of the 29th International Technical Meeting of The Satellite Division of the Institute of Navigation (ION GNSS+ 2016), Portland, Oregon, September 2016, pp. 706-713, 2016.

[3] 国際研究集会発表 M. Yamamoto, S. Suzuki1, S. Saito, C.-H. Chen, A. Saito, and G. Seemala, Realtime three-dimensional tomography of the ionosphere over Japan based on GEONET GPS-TEC, Beacon Satellite Symposium 2016, Trieste, Italy, June 27, 2016.

[4] 電子航法研究所(ENRI)によるリアルタイム電離圏3次元トモグラフィーhttp://www.enri.go.jp/cnspub/tomo3/

[5] (参考)国土地理院によるGNSS連続観測システム(GEONET) http://terras.gsi.go.jp/geo_info/geonet_top.html

課題3 精密衛星測位データを用いた大気圏の環境監視(津田敏隆、矢吹正教)

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GPSに代表される測位衛星からの電波が大気中を伝播する際の遅延や屈折を利用して、局所的な豪雨や気候変動要因の解明に必要となる水蒸気や気温のデータを取得する。

研究成果

Noersomadi and T. Tsuda, Global distribution of vertical wavenumber spectra in the lower stratosphere observed using high-vertical-resolution temperature profiles from COSMIC GPS radio occultation, Ann. Geophys., 34, 203-213, 2016.

 

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