Research Institute for Sustainable Humanosphere

ミッション3「宇宙生存環境」
平成28年度の活動

ミッション全体のミーティングリスト

2016年12月2日-3日: 宇宙プラズマ波動研究会

(京都大学宇治キャンパス)

課題1 宇宙環境を利用・改善する宇宙システムの研究 (山川 宏)

  • 惑星間の太陽風の動圧を帯電した多数のワイヤで受け止めて推進力に変換する帯電セイル宇宙機の推力モデルをParticle-in-cell法により導出した。
  • 静止軌道における衛星の帯電現象の数値解析を行い、静止衛星の帯電モデルを構築した。
  • 地球に接近する小惑星の地球衝突回避に向けて、小惑星とその小惑星に近接させた宇宙機の双方を積極的に帯電させることにより、重力に加えてクーロン力を用いる能動的な小惑星の軌道変更能力を明らかにした。

成果発表

  • K. Hoshi, H. Kojima, T. Muranaka, and H. Yamakawa, Thrust Calculation of Electric Solar Wind Sail by Particle-in-cell Simulation, Annales Geophysicae, Vol. 34, pp. 845-855, 2016, doi:10.5194/angeo-34-845-2016.
  • K. Hoshi, H. Kojima, and H. Yamakawa, Particle-in-cell Simulation of Potential Structure around Electric Solar Sail Wind Tethers, The 30 ISTS Special Issue of Transaction of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol. 14, No. ists-30, pp. Pb-83-Pb-89, 2016.
  • K. Hoshi, Y. Muranaka, H. Kojima, H. Usui, I. Shinohara, and H. Yamakawa, Numerical Analysis of Active Satellite Charging in the Geostationary Environment, Journal of Spacecraft and Rockets, Vol. 53, No. 4, pp. 589-598, 2016.
  • K. Yamaguchi and H. Yamakawa, Near Earth Asteroid Deflection Mission Using Coulomb Force Attractor, The 30 ISTS Special Issue of Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol. 14, No, ists30, doi: 10.2322/tastj.14.Pd_119, 2016.

課題2 シミュレーションによるサブストームの研究(海老原祐介)

概要

宇宙生存圏が大きく乱されるサブストームが起こるしくみを大規模シミュレーションによって調べている。

活動内容

・スーパーコンピューターKDKを用いてオーロラを再現し、その発生源を調査している。

研究成果

グローバル電磁流体シミュレーションを用い、サブストーム成長相で特徴的に現れるオーロラの成因を調べた。太陽に起源を持つ磁場を惑星間空間磁場と呼ぶ。惑星間空間磁場の南北成分が殆どゼロか北を向いているとき、磁気圏プラズマの構造がゆっくりと微細化してゆくことがわかった。磁気圏と電離圏が電磁気的に結合しているためである。シミュレーションの結果を見るとプラズマ圧力がキノコ状に分布していることがわかる。微細化したプラズマ圧力構造は細かい上向き電流を作り、地上では南北方向あるいは太陽方向に伸びた細長いオーロラ・アークとして見ることができる。続いて惑星間空間磁場が南を向くとサブストーム成長相が始まる。微細化したプラズマ圧力構造は強まった磁気圏対流と共にゆっくりと赤道面方向に運ばれてゆく。その様子は低緯度に向かって移動する南北アークや東西アークとして地上で観測することができる。シミュレーションで再現したオーロラの形や動きは実際に成長相で観測されるオーロラとよく似ている。成長相オーロラは従来考えられていたように磁気圏尾部プラズマシートの単純な投影ではなく、地球近傍の磁気圏に現れる微細なプラズマ圧力構造を反映したものであることを提案した。

成果発表

Ebihara, Y., and T. Tanaka, Substorm simulation: Quiet and N-S arcs preceding auroral breakup, J. Geophys. Res., Vol. 121, pp. 1201-1218, doi:10.1002/2015JA021831, 2016.

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課題3   放射線帯の相対論的電子フラックス変動の研究 (大村善治)

  1. 最近 の衛星観測により、地球を取り巻く放射線帯の形成・消失過程には、ホイッスラーモード・コーラス放射および電磁イオンサイクロトン(EMIC)トリガード放射という周波数が変動する電磁波動が深く関与していることが分ってきた。
  2. これらの波動では非線形過程が本質的に重要な働きをしていることから、テスト粒子計算 により相対論的電子の非線形ダイナミックスを明らかにした。

成果発表

  1. Y. Hsieh and Y. Omura, Nonlinear dynamics of electrons interacting with oblique whistler-mode chorus in the magnetosphere, J. Geophys. Res. Space Physics, 10.1002/2016JA022891, 2017.
  2. Y. Kubota and Y. Omura, Rapid precipitation of radiation belt electrons induced by EMIC rising-tone emissions localized in longitude inside and outside the plasmapause, J. Geophys. Res. Space Physics, doi: 10.1002/2016JA023267, 2017.
  3. J. C. Foster, P. J. Erickson, Y. Omura, D. N. Baker, C. A. Kletzing, S. G. Claudepierre, Van Allen probes observations of prompt MeV radiation belt electron acceleration in non-linear interactions with VLF Chorus, J. Geophy. Res. Space Physics, doi: 10.1002/2016JA023429, 2017.
  4. Y. Katoh and Y. Omura, Electron hybrid code simulation of whistler‑mode chorus generation with real parameters in the Earth’s inner magnetosphere, Earth, Planets and Space, 68, 192, 2016.

課題4 宇宙電磁環境の精密・多点観測を可能にする超小型プラズマ波動観測器の開発(小嶋浩嗣)

我々はプラズマ波動観測装置の超小型化をASICの技術によってワンチップ化することにより実現を目指してきた。平成28年度は、プラズマ波動観測器のアナログ回路のチップ化に加え、デジタル部のチップ化にも取り組み始めた。アナログ部とデジタル部を接続するには、まずA/Dコンバーターが必須であり平成28年度のチップではこのA/Dコンバーターのチップ化を可能とした他、金沢大学にてFPGA化されていたプラズマ波動観測器のオンボードデジタル処理(デジタルフィルタとデータ圧縮)についても部分的に切り出したものを、ASIC上に設計・実現する取り組みを開始した。

成果発表

Ozaki, M., S. Yagitani, H. Kojima, K. Takahashi, H. Koji, T. Zushi, Y. Tokunaga, Development of an ASIC preamplifier for electromagnetic sensor probes for monitoring space electromagnetic environments, Earth, Planets and Space, doi: 10.1186/s40623-016-0470-9, 2016.

課題5 新規材料の宇宙利用可能性に関する研究(上田義勝)

将来の宇宙利用に期待される新規材料として、微細気泡技術に関する基礎・応用利用研究を継続している。我々はこの微細気泡の基礎特性に関する研究と、応用試験、また融合研究として、いくつかのミッションにまたがる形として、各大学や研究機関とも共同研究を行ってきている。

成果発表

Hamamoto, S., N. Nihei, Y. Ueda, P. Moldrup, and T. Nishimura, Effects of Flow Rate and Gas Species on Micro- and Nano-Bubble Transport in Porous Media, Environmental Engineering, 2017 (in press).

課題6 低軌道宇宙環境耐性をもった木質系炭素膜の微細構造解析(畑 俊充、小嶋浩嗣)

高度200から700kmの低地球軌道において、宇宙機の表面材料は原子状酸素(AO)により急速な酸化劣化を生じる。本年度は、木質から作ったダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜がAO照射によりどのような影響を受けるか調べるために、DLC膜の内部構造を透過電子顕微鏡(TEM)および電子エネルギーロス分光分析(EELS)で解析した。

最近の活動内容

  • AO照射前と照射後のDLC膜の定量的微細構造解析
  • AO照射前と照射後のDLC膜の定性的TEM観察
  • AO照射前と照射後のDLC膜の定量的TEM-EELS解析

 

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