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第16回生存圏研究所公開講演会

2019年10⽉20⽇(⽇)、第16回⽣存圏研究所公開講演会を開催しました。宇治キャンパス公開の一環として毎年行っており、今年は118名の聴講者が訪れました。⽣存圏において、⼈⼝爆発、資源枯渇、感染病の蔓延、環境破壊といった諸問題が⽣じる中で、当研究所では、ミッション(=すべきこと)という形をとって、これらの問題に学際的・総合的に取り組んでいます。講演会ではミッションと密接に結び付いたテーマについて、当研究所に所属する三⼈の教員が講演を⾏いました。会場からはたくさんの質問があり、大変盛況な会となりました。

 「開会挨拶」生存圏研究所長 渡辺隆司 

「樹皮ウォッチングのすすめ」バイオマス形態情報分野 教授 杉山淳司 

コルクガシから収穫されるワインの熟成に欠かせないボトル栓や、伝統建築の屋根材として利用される檜皮、樺細工に利用されるサクラの樹皮などは、日常見ることのできる樹皮利用の典型例です。一方植物体においては、樹皮は強い紫外線や乾燥から身を守る防護服的役割をはたしています。そういう機能は共通でも、見た目は平滑なものから、クロマツのような亀甲模様、ケヤキやアキニレのようにうろこ状に剝げ落ちるもの、その他、縦に裂けるもの、横縞状のものなど様々です。このような多様性は、葉の特徴とならんで、ツリーウオッチングには欠かせない種に固有の特徴です。そんな樹皮の楽しみ方と、樹皮に潜む面白い特徴について樺細工を例に解説しました。

「オーロラで探る宇宙生存圏の現在・過去・未来」生存科学計算機実験分野 准教授 海老原祐輔 

オーロラは百~数百キロメートルという高さでおこる大気の発光現象で、その原因は宇宙から地球めがけて降り注ぐ粒子にあります。粒子には様々な情報が含まれていますので、オーロラから宇宙空間で起きていることを知る手がかりを得ることができます。最近ではスーパーコンピューターを使ってオーロラの発達を再現することができるようになり、宇宙空間の理解が一段と深まりました。また、古文献の中にはオーロラと思われる記述が少なからずあり、過去には驚くべき事が宇宙空間で起きていたこともわかりつつあります。地球の磁場はゆっくりと変化し、太陽活動も不変ではありません。将来、私たちの生存圏の一部である宇宙空間で何がおこるでしょうか。最新の知見を手がかりにご紹介しました。

「地球と宇宙の環境を診る」レーダー大気圏科学分野 准教授 横山竜宏 

宇宙は高度何kmから始まるのか考えたことはありますか?

国際航空連盟という組織は、高度100km以上を宇宙空間と定義し、ここを境として航空機と宇宙機を区別しています。一方、地球の大気圏は高度1000km付近まで広がっており、非常に希薄な気体が地球の重力圏に留まっています。この大気圏でもあり宇宙空間でもある領域では、太陽からの強烈な紫外線を受けるため、地上では起こり得ない様々な現象が発生しています。また、国際宇宙ステーションをはじめとする、多数の人工衛星が飛翔する領域でもあります。本講演では、この境界領域が我々の日常生活に及ぼす影響と、様々な観測・研究手法について紹介しました。

 

 「閉会挨拶」篠原真毅 教授

当日の講演要旨はこちらから

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