国家戦略特区制度活用による電動車両向けワイヤレス給電の社会実証実験を開始しました(篠原真毅 教授)
篠原真毅 生存圏研究所教授らの研究グループは、COI拠点において国家戦略特区の制度を活用して、電動車両向けワイヤレス給電(コードを使わず、電磁界や電磁波で電力を送る技術)の社会実証実験を精華町(京都府相楽郡)にて開始しました。この社会実証実験により、ワイヤレス給電の利便性や実用上の問題点などを確認し、実用化に向けて加速していきます。
概要
現在、さまざまなワイヤレス給電技術が研究され、標準化や産業化活動が国内外で活発化していますが、研究開発の中心は磁界を利用したものであり、ワイヤレスといってもほぼゼロ距離でしか動作しません。今回は、マイクロ波という電波を利用して、数メートル先の機器を駆動する技術を新たに開発しました。マイクロ波は携帯電話等で盛んに利用されている電波で、本研究でも同じマイクロ波を利用するため、電波の干渉低減技術が必須です。また、電波でエネルギーを送るために、効率も重視されます。
本研究では、三菱重工業株式会社と共同で、電動アシスト自転車のワイヤレス充電システムの開発を行いました。比較的送電電力が大きいため、干渉低減や安全性の確保が必須ですが、本研究ではビーム制御により不要放射を極力低減させた安全・低干渉システムの開発や、干渉しにくいマイクロ波発振器の開発等を実施しました。
さらに、ワイヤレス充電システムの利便性や実用上の問題点などを確認するため、近畿総合通信局から特定実験試験局の免許を受け、電動車両向けワイヤレス給電の実証実験を開始しました。すでに大学構内でのテスト走行は実施済みです。
社会実証実験での成果に加えて、ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム(WiPOT)やブロードバンドフォーラム(BWF)と連携して、ワイヤレス給電方式に関する標準化を積極的に推進し、実用化に向けて取り組んでいきます。