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第15回生存圏研究所公開講演会を開催しました

2018年10⽉28⽇(⽇)、第15回⽣存圏研究所公開講演会を開催しました。宇治キャンパス公開の一環として毎年行っており、今年は99名の聴講者が訪れました。⽣存圏において、⼈⼝爆発、資源枯渇、感染病の蔓延、環境破壊といった諸問題が⽣じる中で、当研究所では、ミッション(=すべきこと)という形をとって、これらの問題に学際的・総合的に取り組んでいます。講演会ではミッションと密接に結び付いたテーマについて、当研究所に所属する三⼈の教員が講演を⾏いました。

開会挨拶 生存圏研究所長 渡辺隆司

 

「水に代わる低環境負荷媒体とものづくり」 繊維機能融合化分野 特定教授 奥林里子

 

紙や衣類の製造には、多量の水が用いられています。この水は年間地中海の約半分の海水量に匹敵すると言われています。使用された水はエネルギーを使ってきれいにし排水されていますが、一部の地域では浄化されずに川や海に流され、大切な地球が汚染されていることも事実です。また、今後途上国の人口増加や経済発展にともなう水需要の伸びにより、世界的な水不足も心配されています。そのような中、水に代わる次世代媒体として超臨界二酸化炭素が注目されています。講演では、超臨界二酸化炭素とは何か、基礎的な性質を説明するとともに、産業界での最近の取り組みやラボスケールでの研究例を、今後の課題を含めてご紹介しました。

二酸化炭素の相関図

「マイクロ波加熱 -電子レンジで化学反応?-」 生存圏電波応用分野 准教授 三谷友彦

 

皆さんが普段ご家庭で使われている電子レンジ。この電子レンジには様々な科学的要素が潜んでいます。例えば、なぜ電子レンジで食べ物が温まるのか?カップに入れたミルクは温まるのに、なぜカップの耳は素手でさわることができるのか?等々。電子レンジは、「マイクロ波」と呼ばれる電磁波をエネルギー源として食品を温めています。マイクロ波は、スマートフォンに搭載されている無線通信機器や自動車の料金自動支払いシステム(ETC)等、日常の様々なところで使われている電磁波です。生存圏研究所ではマイクロ波を使った加熱現象を利用して様々な研究を行っています。講演では、マイクロ波加熱の原理や研究事例を紹介しました。

「樹木の個性 -抽出成分-」 森林代謝機能化学分野 助教 鈴木史朗

 

樹木は、抽出成分という微量ではありますが樹種ごとに異なる成分をつくり、それぞれの樹種の特徴になっています。これらの抽出成分は、ヒノキやスギの心材の色の原因となる物質や、いわゆる森林の爽やかな香りのフィトンチッドと呼ばれる香気成分、松脂など工業原料となる成分などを含んでおり、産業的や環境的にも重要です。生存圏研究所では、樹木以外にも、同じような成分を作る実験容易な草本植物も使って、抽出成分ができる仕組みを明らかにしようと研究を行っています。講演では、抽出成分とは何か、また生存圏研究所での抽出成分に関する研究事例について紹介しました。

閉会挨拶 広報委員長 篠原真毅

当日の講演要旨はこちらから

宇治キャンパス公開における生存圏研究所の取り組みはこちらから

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