第13回生存圏研究所公開講演会が開催されました
2016年10月23日(日)、第13回生存圏研究所公開講演会をおうばくプラザきはだホールにて開催しました。生存圏において、人口爆発、資源枯渇、感染病の蔓延、環境破壊といった諸問題が生じる中で、当研究所では、ミッション(=すべきこと)という形をとって、これらの問題に学際的・総合的に取り組んでいます。講演会ではミッションと密接に結び付いたテーマについて、当研究所に所属する三人の教員が講演を行いました。
所長挨拶 渡辺 隆司
「レーダーを使って大気を測る-信楽とインドネシアからの研究紹介」 レーダー大気圏科学分野 教授 山本 衛
レーダーを使って大気を観測することは大変有用で、1984年に信楽に設置されたMUレーダーを用いることで、中層大気・超高層大気の観測が可能となりました。2015年5月、MUレーダーは電気電子情報通信分野におけるIEEEマイルストーンと認定されました。また、インドネシアに赤道大気レーダー(EAR)を設置することで、赤道大気に特有の波動現象やプラズマバブルの現象の研究を行っていること等について講演しました。
「植物と人を❝支える❞細胞壁の科学」 森林代謝機能化学分野 准教授 飛松 裕基
植物の細胞壁の構造、機能、そして細胞壁を作り出す仕組みを明らかにすることで、陸上植物の進化を説明できることが可能となりました。二次細胞壁にリグニンを充填することで、水分輸送と構造支持という植物の機能が進化の過程で大幅に増強されたこと、石油資源を用いないバイオリファイナリーがリグニンの改変によって将来可能となること等を紹介しました。
「木造住宅を長持ちさせるには」 生活圏構造機能分野 助教 森 拓郎
木造住宅を長持ちさせるための耐震設計の重要性と、リフォームは耐震補強を行うチャンスで十分な耐力をもった壁をバランスよく配置することが大切であることを示しました。また地震被害の調査により、生物劣化について考慮する必要があることがわかり、木造住宅を長持ちさせるには、日ごろからのチェックとメンテナンスが欠かせないことを説明しました。