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【プレスリリース】清浄な南極地域でもヘイズ現象が出現―気候変動に与える影響も―(矢吹正教特任准教授)

矢吹正教特任准教授、原圭一郎 福岡大学助教らの研究チームは、1997から2022年の間に南極昭和基地に出現した南極ヘイズの特徴、その発生要因、南極ヘイズの大気化学過程へのインパクトを明らかにしました。

本研究チームによる解析の結果、南極ヘイズ現象は、荒天・強風時に寿命が1年以内の海氷域から大気へ大量の海塩エアロゾル(以下、「海氷起源海塩エアロゾル」)が放出された結果出現することが明らかとなりました。昭和基地の地上付近では、南極ヘイズ現象は主に5-10月に出現し、昭和基地上空の4km付近まで分布していたことが分かりました。さらに南極ヘイズ現象時には、日射環境下では海塩エアロゾル粒子上の化学反応により、オゾン(O3)消失現象が起きていました。大量の海塩エアロゾル放出はO3消失現象をもたらすだけではなく、雲核の供給過程としても重要なため、雲過程を介して南極域の気象・気候へ影響を及ぼす可能性があります。

 本研究の結果は、南極地域観測事業における昭和基地で行われた気水圏モニタリング観測、プロジェクト観測、および気象庁の定常観測で取得された長期のデータに基づいて得られたものです。

 本研究成果は、2025年8月1日に、国際学術誌「npj Climate and Atmospheric Science」に掲載されました。

詳しい研究内容について

清浄な南極地域でもヘイズ現象が出現―大気化学過程・雲過程を介して気候変動に与える影響も―

研究者情報

〒 611-0011 京都府宇治市五ヶ庄
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