『生存圏研究-Sustainable Humanosphere』 ISSN 2758-4259 第20号,2024(令和6)年11月6日発行
ISSN 2758-4259 No.20 PDF
目次・巻頭言
目次
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巻頭言 生存圏研究所 所長 山本 衛
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総説
未来を築く木質炭素:その秘めた力と可能性
畑 俊充
P2-P7 PDF
概要(クリックで表示)
木炭は独自の特性と用途によって私たちの生活を豊かにし、環境保護に貢献する重要な素材である。木炭は古代から人類の歴史と深く結びついており、日本では炭焼き技術が文化と経済を支えてきた。その多孔質構造によって高い表面積を持ち、消臭、水浄化、土壌改良など多岐にわたる用途がある。本稿では、木炭の歴史的背景と製造方法、その特性と現代における利用法について詳細に解説する。特に、木炭を素材としてみた場合の名称である木質炭素の多孔質構造とその応用例を取り上げ、伝統的な利用方法と革新的な利用方法の両面から、その秘めた力と可能性を探る。持続可能な未来に向けた木質炭素の新たな役割を理解し、科学的根拠に基づいてその有効活用を進めることが重要である。本総説を通じて、木質炭素の特性と多様な利用法を探求し、その可能性を最大限に引き出すための知識を提供する。(クリックで格納)
リグニンの電解メデイエーターシステム酸化反応
謝 冰
P8-P12 PDF
概要(クリックで表示)
バイオリファイナリーは、再生可能な木質バイオマスを有用な化学品やエネルギー源に変換する技術であり、持続可能社会の構築に向けた研究が進められている。リグニンは木質バイオマスの主要成分の一つであり、その利用は、バイオリファイナリーの経済性の向上とバイオマス由来芳香族化成品生産システムの確立に重要である。そのため、近年、複雑な高分子構造を持つリグニンを効率的に分解する手法の開発が注目されている。筆者は従来の高温高圧法に代わる温和な触媒法として、電解メデイエーターシステム(electrolytic mediator system; EMS)に着目し、その可能性を探る研究を進めてきた。本報では、その結果を紹介する。(クリックで格納)
木の音から人と地球の未来を考える ~楽器を見て森林を見る~
仲井 一志
P13-P19 PDF
概要(クリックで表示)
楽器は太古の昔の時代から人々の生活と共にあり、現代でも多種多様の木材を組み合わせて作られ ている。木材で作られた楽器が現代でも重要視される理由の一つに、木材特有の音がある。その音は 木材特有の物性の異方性によってもたらされ、木材の種類によって変化する。熱帯地域に分布するマ メ科の樹木は、特に楽器として有用な特性を持つものが多く、それらは限定的な市場と個体数の少な さから希少材と呼ばれ、絶滅危惧種に指定されているものも多い。木材を楽器に使う、単純明快な事 実に基づき、木材に最も高い付加価値をつけることができる使い方から、その木材が育つ森林と地域 社会に目を向けていく。持続可能な森林とは何か。普段の生活で身近な楽器に使う木を、様々な視点 で見つめ直す。(クリックで格納)
次の千年の木材のおはなし
松尾 美幸
P20-P24 PDF
概要(クリックで表示)
木材は、適切なメンテナンスをすれば非常に長持ちする材料である。日本各地に残る歴史的木造建 築から分かるように、百年単位の長きにわたって構造材として建築物を支えることができる。一方で、 木材を構成する成分は長い時間をかけて少しずつ変化しており、これにより材料特性もゆっくりと変 化していくことが知られている。この変化を木材の「経年変化(ageing)」と呼ぶ。本稿では、木材の 経年変化についての研究を紹介するとともに、今後の百年あるいは千年単位の経年変化を予測する試 みについて紹介する。(クリックで格納)
植物-微生物間相互作用からみる侵略生態学
中村 直人
P25-P29 PDF
概要(クリックで表示)
外来種とは、もともとの生息地から離れた地域に人為的に導入された生物であり、その一部は侵略 的外来種として在来種を脅かし、生態系に大きな影響を与える。外来種が侵略に成功する要因を解明 することは侵略生態学における中心的な課題の一つである。生物の侵略には気候や土壌環境など様々 な要因が関与するが、特に植物においては、微生物との相互作用が大きな役割を果たすと考えられて きた。特に近年では次世代シーケンサーを用いた微生物解析技術の進展により、外来種が原生地と侵 略地間で相互作用する微生物の違いや、個々の微生物の機能を推定することが可能となっている。こ れらの手法により、今までに提唱されてきた侵略仮説の検証や侵略成功に関わる微生物を種レベルで 特定できる可能性がある。本稿ではこれらの知見を踏まえ、微生物との相互作用を通じて外来植物の 侵略成功のメカニズムに迫る研究の現状について解説する。(クリックで格納)
解説
二酸化炭素で染色・機能加工 ~超臨界二酸化炭素で材料加工~
奥林 里子
P30-P34 PDF
概要(クリックで表示)
人類はこの150 年余り、生存に必要な「衣」を人工的に作り出すことで、多くの二酸化炭素を排出 し水を汚してきました。衣服の生産から着用、廃棄において、将来にわたり持続可能であるサステナ ブルファッションを目指し、地球温暖化の原因である二酸化炭素を有効活用する、水を使わない衣類 の染色と機能加工の技術を紹介します。(クリックで格納)
訂正
相対論的プラズマ粒子シミュレーションのための粒子計算アルゴリズム
銭谷 誠司、 加藤 恒彦
P35 PDF
概要 生存圏研究14 に掲載された記事 の以下の2箇所を訂正します。