Research Institute for Sustainable Humanosphere

スーパーコンピューターでオーロラ爆発の基本的な仕組みを明らかに(海老原祐輔准教授)

オーロラ爆発はなぜ起こるのか?
~スーパーコンピューターでオーロラ爆発の基本的な仕組みを明らかに~

京都大学および九州大学の研究チームは、オーロラが急激に明るく光り出す「オーロラ爆発」現象をスーパーコンピューターで再現し、長年の謎であったオーロラ爆発の基本的な仕組みを解明しました。京都大学生存圏研究所の海老原祐輔(えびはら ゆうすけ)准教授と九州大学国際宇宙天気科学・教育センターの田中高史(たなか たかし)名誉教授による成果です。

田中高史名誉教授が開発した超高精細な電磁流体シミュレーションを用いて地球近くの宇宙空間を模擬し、詳しく解析しました。その結果、地球近くの宇宙空間でおこる磁力線のつなぎ替えをきっかけとして高緯度地方の上空に熱いプラズマ※が集まり、それらが自ら回転運動をはじめることで大電流を急激に作り出し、オーロラ爆発が始まることを突き止めました。さらに、オーロラの近くで電気が余るために周囲のプラズマが回転運動をはじめ、宇宙空間に向けて薄い上向き電流を流すことでサージと呼ばれるオーロラ爆発特有の極めて明るいオーロラが現れることも分かりました。これらは世界で初めて得た知見であり、これまでの定説を大きく覆すものです。オーロラ爆発の成因については諸説があり活発な議論の的となっていましたが、その基本原理がわかった事でオーロラ嵐の全容解明に向けて大きなブレイクスルーになることが期待されます。部分に着目するばかりでなく全体構造を考えること、すなわち複合系科学の重要性を示す一例と言えるでしょう。オーロラ嵐は放射線帯と呼ばれる高エネルギー粒子群や地上の送電網に誘導電流を流す原因となることから、オーロラ嵐の理解はこれら関連現象の理解に繋がり、人工衛星や地上の送電網の安心・安全な運用に重要な指針を与えるものと期待されます。

 本研究成果は、アメリカの専門誌ジャーナル・オブ・ジオフィジカルリサーチ誌2015年12月号に掲載される予定です。

※プラズマ〓電気を帯びた粒子の集合

論文タイトル:Substorm simulation: Formation of westward traveling surge
論文DOI   :doi:10.1002/2015JA021697
著者名   :海老原祐輔1、田中高史
所 属   :1.京都大学生存圏研究所
       2.九州大学国際宇宙天気科学・教育センター

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(参考)南極昭和基地の全天カメラが捉えたオーロラ爆発の例。1分間隔で表示。(提供:国立極地研究所)

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(上)人工衛星が撮影した宇宙から見たオーロラ爆発。オーロラは常に地球の極を取り囲むように光っている。これをオーロラ・オーバルと呼ぶ。オーロラ・オーバルの一部が突然明るく光りだし、明るいオーロラが北極方向、そして西向きに拡がる。その先端をサージと呼ぶ。 (下)シミュレーションで再現したオーロラ爆発。オーロラの突然の増光、西向きに動くサージというオーロラ爆発の特徴をシミュレーションで再現することができた。

今回の研究で明らかにしたオーロラ爆発の発達過程。左側は北極上空から地球を見下ろした図で、緑色はオーロラの概略を示す。右側は地球を横から見た図で、黒い線は磁力線を、赤色の領域はプラズマ圧力が高いことを示す。(1)太陽とは反対側(夜側)に大きく引き延された地球の磁力線が繋ぎ替わり、高緯度地方の上空に熱いプラズマが集まる。(2)熱いプラズマが磁力線まわりに回転をはじめ、上向きの大電流を急激に作り出す(突然の増光)。(3)明るいオーロラの近くで電気が余り、プラズマを回転させ上向きの薄い電流を作り出す(サージ)。

今回の研究で明らかにしたオーロラ爆発の発達過程。左側は北極上空から地球を見下ろした図で、緑色はオーロラの概略を示す。右側は地球を横から見た図で、黒い線は磁力線を、赤色の領域はプラズマ圧力が高いことを示す。(1)太陽とは反対側(夜側)に大きく引き延された地球の磁力線が繋ぎ替わり、高緯度地方の上空に熱いプラズマが集まる。(2)熱いプラズマが磁力線まわりに回転をはじめ、上向きの大電流を急激に作り出す(突然の増光)。(3)明るいオーロラの近くで電気が余り、プラズマを回転させ上向きの薄い電流を作り出す(サージ)。

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